[ハヤトウリ]不思議な存在感を楽しもう|ウリ科ハヤトウリ属|エバーグリーン

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街路樹も、葉がどんどん落ちてさっぱりした姿になってしまいました。枝振りが美しい冬景色もよいものですが、少し鮮やかな色が恋しくなるこの時期、室内で植物を飾りたくなりませんか?

シクラメンポインセチアなど賑やかな存在もよいですが、今回はちょっと不思議な生態がおもしろいうえに、食用になる植物を紹介しましょう。

 

大人の掌に余るくらいの大きさで緑色か白色、洋ナシのような形の野菜を野菜売り場で見かけたことはありませんか?

ハヤトウリといいます。

蔓性植物で、ひと株から50個以上の実を付けることもあるほど実付(みつき)がよいため別名をセンナリウリといいます。熱帯アメリカ原産のウリ科の植物で、果実は食用になります。日本へは、1917年(大正6年)に鹿児島へ渡来したため「薩摩隼人の瓜」で「ハヤトウリ」という名前になったそうです。

ぶら下がるとなかなかの重量です

ぶら下がるとなかなかの重量です

 

あっさり淡白で少し苦味がありますが、ゴーヤのように強烈な苦味ではないので、ベーコンとハヤトウリの黒胡椒炒め、塩昆布でハヤトウリの即席漬け、油揚げとハヤトウリの味噌汁など、炒めてよし、漬けてよし、煮てよしと使い回しの効く食卓にうれしい存在です。

花はあまり目立ちません

花はあまり目立ちません

 

ハヤトウリのおもしろいところは、なんといってもその生態です。

果実の中には大きな種が一粒だけ入っていますが、発芽まで果肉と種子が分離しないのです。そのため果実をそのままゴロリと机に転がしておくだけで、いつの間にか蔓がニョロニョロ伸びてきます。そのまま楽しんでもよいですが、新聞紙に包んで5℃以下の低温で保存しておくと翌年の春に種瓜として植え付けに使用できます。

ニョロニョロ芽が出てきたハヤトウリ

ニョロニョロ芽が出てきたハヤトウリ

 

病害虫に強く葉が大きいため、夏に強い日差しを防ぐ緑のカーテンとして植えるのに向いています。ただし、実付がよいうえに一つひとつの実が大きいので細い紐で作られた蔓性植物用ネットではひと夏を乗り切れません。頑丈な紐のネットと支柱で栽培してください。

大きな葉が力強い緑のカーテンになります

大きな葉が力強い緑のカーテンになります

 

9月から冬にかけて野菜として市場に出回るハヤトウリ。ぜひ一度手に取って見てくださいね。

 

渋谷区ふれあい植物センター 宮内元子

ぶら下がるとなかなかの重量です