一気に寒さが押し寄せて、毎朝お布団の中で絶望しています。昨年の今頃何を着ていたのか、冬支度をどうしていたのかさっぱり思い出せないまま、気が付くと本格的な冬に突入してしまうのをなんとか避けたいと思うのですが、うまくいったためしがありません。
その点、植物はすごいですね。気温の変化に素早く対応し、紅葉や落葉したり、発芽したり開花したりします。季節外れの気温で本来の時期ではない時に開花してしまうのはかわいそうですが、次の年の旬の時期には数が減っても開花する生命力の強さにも感嘆します。シンプルな植物体の作りですが、驚くような色や形で生きているのも見どころの一つです。今回は、鉱物のような煌めきを放つ花を紹介します。
ダイヤモンドリリーとは名前のとおり、ダイヤモンドのような煌めきを花びらに秘めた球根植物で和名は「ネリネ」といいます。白色から赤色系統の花色で、花びらの表面に光が当たると細かいラメを散らした金属光沢のように輝くのは表面の細胞が光を反射する構造だからです。南アフリカのケープ地方が原産で、乾燥に強く夏場には水を与える必要がありません。荒れた土壌に生きるため、肥料や植えるスペースも少なくてよいのが栽培管理でうれしいポイント。そのうえ、植木鉢に植え付けるならば、自然に分球するに任せて鉢がパンパンになったら分ける程度で問題ありません。
同じヒガンバナ科の植物のように、開花する時には長い花茎の上に花が咲くのみで花後に葉が出てきます。日当たりを好むのでしっかり日光がさし、寒さや霜が降りない凍らない場所で管理してください。開花期間が約1か月と長いおかげで秋の花壇から冬の花壇に移り変わる花の少ないこの時期を彩ってくれるうれしい存在です。
切り花としていけても長持ちする花なので、家の中でもダイヤモンドの煌めきを楽しむことができます。夏に販売されている球根は早めに植え付けないと乾燥しすぎて発芽しなくなることもあります。購入したら早めに植え付けるようにしてください。あこがれの宝石の輝きを花でも堪能しましょう!
(水戸市植物公園 宮内元子)