[クリ]お庭レシピ 番外編 戦国の武将も食べたとされるカチグリ|ブナ科クリ属|エバーグリーン

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カチグリって?

カチグリは、乾燥させたクリの実を殻と渋皮をとったもので、江戸時代に食物について書かれた書物『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』にも登場。そのなかでは、クリを天日で干し、それを臼(うす)でついたものとされています。臼でつくことは、「かち(搗ち)」とされるので、この「搗ち」が「勝ち」に通じるとして出陣、勝利の祝いや、正月の祝儀などでも使われたそうです。ほかに、乾燥させてカチカチになるからカチ(グリ)とされているともいわれているようです。

 

カチグリはシバグリで作るとか

ひとくちにクリといってもイロイロな種類があり、俗にいう実が小さいヤマグリはシバグリ(柴栗)と呼ばれ、このシバグリの改良品種がニホングリ(日本栗)と呼ぶ大粒で売られているもののことです。ヤマグリは野生種のクリのことで、その語源は、果実が黒い色をしていることで「黒実」と呼ばれ、それが転じて「クリ」になったとされています(諸説あります)。

野山でひろうことができるシバグリ

野山でひろうことができるシバグリ

 

カチグリもイロイロ

カチグリの作り方を調べてみると、その昔はクリをそのまま乾燥させて、臼(うす)で搗いたとされていますが、時代によっては一度クリを蒸したり茹でたりと、火を通してから乾燥させたものありました。また、昔は臼などで搗いて粉にしたものが一般的だったようですが、通販などのサイトでは乾燥させたクリや甘栗などもカチグリとして売られています。また、レシピのサイトでは乾燥させたものをカチグリと呼んでいるようです。というわけで、カチグリ作りにチャレンジしてみました。

 

カチグリを作ってみた

カチグリを作るには、クリ拾いから。イガに包まれたクリは、足で踏んで実を出しながらひろいます。よく見ないとすでに虫に食われてしまっているものも多数あり。そのため、拾ったクリは半日~1日水につけて浮いたものは捨て、沈んでいるものだけを使うようにします。まずは、水からクリを茹でます。茹で時間は沸騰後、火を弱めて15~20分程度。時々クリを取り出し、食べてみて好み茹で加減にするといいでしょう。茹であがったクリをひたすら乾燥させます。フードドライアーを使えば2日程度、天日なら雨にあてないようにして1~10日ぐらい。クリの実はカラカラ(カチカチ)になるまで乾燥させれば出来上がりです。ちなみに、乾燥させると鬼皮も比較的むきやすくなります。

水につける

水につける

 

浮いたクリはは傷んだり虫食いしているので捨てます。その後、茹でるか蒸してもよいでしょう。

フードドライヤーで乾燥させる

フードドライヤーで乾燥させる

雨に注意しながら天日干し

雨に注意しながら天日干し

できあがり。割るとカチカチに

できあがり。割るとカチカチに

 

カチグリの使い方

完成したカチグリは皮と鬼皮をむき、フードプロセッサーなどで粉末にすれば本来の搗栗に。また、粉にはせず水で戻して柔らかくして使う方法もあります。筆者は、非常食代わりにそのまま皮をむいて食べました。とにかく硬いのですが、口の中に入れてしばらくすると甘味が出てきました。長期保存ができるので、たくさん拾ったときなどはカチグリにして保存するといいかも知れませんね!

 

文様の中にもカチグリはあった!

このカチグリ由来の文様を、国立博物館の刀の鍔(つば)の部分に描かれているものとして目にしたことがあります。サル(猿)と共に、クリ(栗)が描かれていました。最初はかわいいだけの文様だと思ってましたが、クリをカチグリ(勝栗)と考え、サル(猿)は「去る」と語呂合わせすることで、「勝ち去る」! こんなところにも、昔の人は縁起を担いでいたのだなぁ~と思わせてくれた文様でした。

 

(日本図案家協会準会員・著作物『文様のしきたり(青春出版社)/藤依里子)


水につける