日本各地の神社やお寺をはじめとした場所には、シンボルツリーのひとつとして願いを叶えてくれる、パワーがもらえるというご神木と呼ばれている木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を語呂合わせや、願いを叶える力もあるからでしょう。特に、大樹や古木には、木霊と呼ばれる精霊が宿り、不思議な力を持つともいわれています。今回はそんなご神木の中から鹿島神宮のご神木を紹介します。
全国各地の鹿島神社の総本社で、関東最古の神社が『鹿島神宮』です。
日本建国・武道の神様である武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)が御祭神であることから、武の神として古くから知られ、多くの武士たちが信仰していました。なかでも有名なのは、生涯無敗の無敵の剣豪として知られる塚原卜伝(つかはら ぼくでん)、堺雅人主演の時代劇『塚原卜伝』のロケも境内で行われた場所としても知られています。
そして、今も昔も剣豪をはじめ多く武道家や武術家がこの地を訪れるのは、武甕槌大神が御祭神であることはもちろんのこと、境内の宝物館に、日本最古最大の国宝直刀「韴霊剣(ふつのみたまのつるぎ)」、重要文化財「梅竹蒔絵鞍」が所有されているからかもしれません。
ご神木は杉
鹿島神宮のご神木の杉は、境内の中で一番大きく高さ40m、根周囲12m、樹齢1300年以上と推定される巨木。重要文化財に指定されている社殿を見守るように立っています。
宝物館の方の話によると、「その根の張りは神々しい」とのことですが、残念ながら社殿の塀などで今回は見ることはできませんでした。もちろん、このご神木の杉には触れることもできません。そのため、多くの人はご神木のパワーが宿る樹として、宝物館近くの2本の杉に触れ願いを託すのだとか……。
この2本の杉の近くには、杉に椎が宿っている寄生木(やどりぎ)もあります。また、境内には次郎杉と呼ばれる境内で2番目に大きく高さ40m、樹齢は700年の杉もあります。
天然記念物の樹叢
鹿島神宮の社殿から摂社奥宮へと続く奥参道は、茨城県指定の天然記念物の樹叢(じゅそう)で、約800種の植物が生育しています。
高木層はモミ・スギ・シイ・タブノキ・クスノキ・カシ類、低木層はヒサカキ・モチノキ・シロダモ・モッコク・アオキ・アリドオシなど、草本層はヤブミョウガ・オカメザサ・シダ類など、生育南限と北限の植物が混在している不思議な空間。奥参道を歩くだけでパワーを充電できるように感じられる場所です。
また、鹿園もあります。これは、鹿島から奈良へ御祭神を鹿が運び手を担ったことから、鹿島神宮では鹿は神鹿とされているからです。
水底が見渡せる御手洗池
その昔は、参拝する前にここで禊(みそぎ)をしたとされる御手洗池(みたらしいけ)。一日40万リットル以上の水が湧き、水底が見渡せるほど澄みわたった池です。
現在でも、年始には大寒禊が行われます。水を汲むこともできますが、煮沸してからの飲料が原則。池の近くには茶屋もあり、その水を使用した甘酒や蕎麦などが販売されています。
この鹿島神宮は、香取神宮とペアで関東の東を護る守護神です。また、鹿島神宮は武運だけなく、仕事・人生に総合的な開運力もあり、人生の転換期などには訪れるとよいとされています。秋の休日に足を伸ばしてみるのもいいかもしれませんね。
- 『鹿島神宮』への行き方:JR鹿島線「鹿島神宮」より徒歩10分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)
- 前の記事を読む(花で遊ぶ……。子どもの頃のよくある思い出)
- 次の記事を読む(秋の西沢渓谷で、「ダイモンジソウ」を体感してみよう)