はじめて知ったレタスの和名「チシャ」
私が移住した山口県萩市には、「ちしゃなます」という郷土料理があります。
「ちしゃなます」を作ろうと「チシャ」をお店で探すも、そんなお野菜はどこを探してもありません。レタスで代用しようと思ったら、「チシャ」はレタスの和名だったんです。
「ちしゃなます」という郷土料理は、頭とはらわたを取り除いたいりこをすり鉢ですって、味噌、酢、砂糖などと混ぜ合わせ、チシャと和えるというもの。簡単に手に入る地元の食材で手軽に作る普段の食事の一品という感じ。すり鉢で心をこめてすればするほど、いいお味になります。
ちしゃなますが郷土料理となった理由を調べてみると、かつて萩藩では、家庭でのチシャの栽培が推奨されており、どこの家の軒先にもチシャが植えてあったからだそうです。簡単に栽培できて、栄養もとれるチシャ。毎日の食卓を支えてきたお野菜だったのです。
Wikipediaによると、日本では、かなり古くからチシャを食べていたようで、1697年に出版された『農業全書』には栽培方法などが記されていたそうです。
レタスというと、いかにもイマドキの野菜のようですが、こんなにも歴史があったのですね。
レタスからミルクがでてくる?
さて、そんなレタス(チシャ)ですが、わが家でも、春から少しずつ始めた畑に、苗を植えたところ、1〜2週間でモリモリと育ち、収穫できるようになりました。
畑の初収穫はレタスです。
お店では、この写真よりももう少し若い状態のレタスが売られています。
実際に植えてみると、レタスは大変優れものであることに気付きました。まず、あまり虫がつきません。ほかのお野菜の苗では、植えた数日後には、虫にくわれて、葉っぱが穴だらけになって、枯れてしまったものもあるのですが、レタスたちの強いことといったら! どの苗も枯れることなく育ちました。
そして、驚いたのは、葉っぱをちぎると、真っ白な液体が出ること。まるでミルクのような濃厚な白い液体です。レタスのような淡白な味の野菜からこんな液体が出てくることに驚きました。いかにも栄養価が高そうです。
レタスの和名「チシャ」の語源は、「乳草」からきていると聞いて、大いに納得しました。
成長したレタスが驚きの姿に
レタスを植えてから、食べごろを過ぎるまでの2〜3カ月は、食事の準備のたびに、食べる分だけつんできて、食卓へのぼるという日が続きました。
レタスは、ニョキニョキと背が高くなり、小さな黄色い花が咲きます。そしてこうなったらもう、葉はえぐみを増して食べられません。今シーズンのレタスはこれでおしまい。
自分の手で野菜を育てることも、その歴史を調べることも、萩で生活するようになって、自分の手で野菜を育てたり、その歴史を調べたりすることで、食生活も豊かになってきたような気がします。最近は水耕栽培やプランターなどでも、手軽に野菜が育てられるようです。そんなときは、ぜひその野菜の性質や歴史などを調べてみると、きっと楽しいですよ。
(田舎暮らし イシダヨウコ)
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