[ノブドウ]青色の宝石|ブドウ科ノブドウ属|エバーグリーン

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秋が近づき、植物も色づきはじめましたね。今年の秋の紅葉はどうなるでしょうか。私は自分が勤務する水戸市植物公園ラクウショウの林やカツラの並木道が紅葉するのを初めて見ることになるのが楽しみです。

モミジやイチョウ以外にもさまざまな植物が紅葉します。樹木の紅葉するさまを鑑賞するのが一般的ですが、一年草や多年草が紅葉するのを「草紅葉」ともいいます。みなさまのお住まいの近くにも、思いがけない植物で紅葉狩りを楽しめる場所があるかもしれません。色の変化をお楽しみください。ということで、今回は蔓性植物の中でも果実の色の変化が美しい植物を紹介します。

別名はイヌブドウ、カラスブドウ

別名はイヌブドウ、カラスブドウ

ノブドウはブドウ科の落葉蔓性植物で藪の中でほかの樹木に絡まって生えているのを見かけます。都会でも思いがけないところにこっそり生えていることがあります。花はヤブガラシの花に似た緑色の小花が集まった形状で目立たず、冬から夏の間は植物が生えていることを感じさせないのですが、夏の終わりから秋にかけて実った果実が色づくと、圧倒的な存在感を放ちます。

果実と葉が交互につくのが特徴

果実と葉が交互につくのが特徴

青色、それも空色から紺色と紫色のグラデーションに色づいた小さな実は宝石のように美しく、こんな色使いの生物がなぜ自然界に現れるのかと呆然としてしまいます。しかもこの色は、ノブドウ本来の果実の色ではなくブドウタマバエやブドウトガリバチなどの昆虫が果実の中に卵を産み付け、幼虫が寄生して虫えい(虫こぶができること)によって変化する色だといわれています。本来のノブドウの果実の色は緑から白色で、特に目立つ果実ではありません。イチジクの果実やイスノキの葉など、昆虫が寄生して虫こぶができる植物はほかにもありますが、ノブドウの美しさは唯一無二です。

ブドウヤマブドウに似ていますが、別属の植物で食用にはなりませんが、秋の庭を彩るにはもってこいの植物です。民間療法で利用される風習もありますが、安易に口にするのはやめましょう。ハダニが付くことがあるので風通しのよい場所で樹木やフェンスに絡ませるように栽培してみてください。
 
水戸市植物公園 宮内元子)


果実と葉が交互につくのが特徴