幼い頃や若かりし頃には良さがわからなったものが、年齢が上がるにつれてなんだか「これ良いじゃない」と思えるようになることありませんか。シイタケの良さがいまいち分からないまま過ごしてきたのですが、最近お蕎麦屋さんで鍋焼きうどんに入っていた味がとてもよく浸みたシイタケを食べて「ありじゃん!」と開眼しました。考えてみたら美味しいお出汁には欠かせないシイタケ。良さが理解できるようになってよかったとしみじみ感じながら、味の浸み出るシイタケを噛みしめています。さて、植物の話もしかり。
ケイトウをご存じですか。鶏頭と書いてケイトウ。鶏の頭についている「とさか」に似た花を咲かせることから名付けられました。何種類かあるのですが、雄鶏の頭についているブツブツの肉の塊そっくりの花もあり、幼い頃の私はなんだか触るとブツブツがうつりそうで怖くて苦手な花でした。ところがどっこい、前述したようにケイトウにも様々な種類があり、フワフワの羽毛が集まったような種類や、花が長く動物の尻尾のようになる美しい種類など、花壇や寄せ植えでも使いやすい植物なのです。
インドから熱帯アジアが原産のヒユ科の植物で、日当たりと水はけのよい場所であれば土はあまり選ばない育てやすい植物です。ただし、移植を嫌うので、苗を植え付ける場合はポットを外したときに根を崩し過ぎないことと、どうしても移動させるならば根鉢を広く大きくとって動かしてください。花壇や鉢に直接、種子をまくのもおすすめですが、こぼれ種でもよく出るので自由に芽が出るのを楽しみにされるのもよいでしょう。
夏から秋にかけてと開花期が長く種子まきの時期を遅くすると草丈が低いまま花が咲くので使いたい場所によって工夫されるとおもしろいです。鉢植えの場合、乾燥させると下葉が枯れあがりやすくなります。肥料をやり過ぎると葉ばかり茂るので、乾燥させない程度であれば痩せた土地で強く育ててください。
見慣れた植物でもあらためて眺めてみると味わい深かったりするものですね。お庭の植物の良い部分を再発見してみませんか。
(水戸市植物公園 宮内元子)