風が涼しくなり「秋が来たな」と感じられるようになりました。夏の植物の花は赤や黄色などはっきりした色が多く、元気いっぱいで暑さを乗り越えてみせるぞ! という感じですが、秋の植物は中間色が増えてきて、だんだんと色づく葉っぱにも溶け込むしっとりとした穏やかさを感じます。なかでも、コスモスの花がそよそよと風に揺れる様子は「秋の風情」そのものですね。
旧暦の9月9日は五節句の一つ「重陽の節句」。今年のカレンダーに合わせると10月14日にあたるそうです。キク科の植物は日本人の文化に深く結びついていて、お団子に欠かせないヨモギや、お供えに欠かせないキクの花、世界中でも唯一日本食でのみ食用とするゴボウもキク科の植物です。
コスモスもキク科の植物ですが、原産地は熱帯アメリカです。メキシコからスペインに渡り、マドリード王立植物園で名づけられました。日本にやってきたのは明治の初めです。ピンクや白色などの一般的な色合いの品種は別名オオハルシャギクといい、黄色やオレンジ色の品種はキバナコスモス、濃い臙脂色から茶色の品種のチョコレートコスモスもあります。
風に揺れる姿が愛らしいのですが、コスモスの咲く時期の悩みは台風の到来。細い茎が強い風に煽られ、折れたり地面にべったり這ってしまい、せっかくの花が台なしになります。草丈が高いほど傷みやすくなるので、低く栽培するのがポイントです。
コスモスの種まきは早咲きの品種が春播き、遅咲きの品種は夏播きですが、できるだけ季節ぎりぎり遅くに播くのがコツなのです。播く時期が遅ければ遅いほど草丈を低く育てることができます。また地面に這うのを防ぐには、成長する前に網を広げておいて網のマス目の中にコスモスを通して成長させると風が吹いても倒れにくくなります。
コスモスの種子は採取しやすいので、ぜひ好きな色のコスモスを選んで来年用の種子を保管して挑戦してみてください。