植物図鑑
キク
キク属
キク
学名:
Chrysanthemum morifolium
〔基本情報〕雑種起源の多年草です。
日本で多くの園芸品種が作られ、大菊(厚物、厚走り、一文字、管物、美濃菊、中菊(江戸菊、嵯峨菊、伊勢菊、肥後菊など)、小菊、洋菊と性質の異なるさまざまな系統があります。
鉢植えや切り花など観賞用のものがほとんどですが、花を食用とする品種もあります。
〔来歴〕中国でチョウセンギクとハイシマカンギクの交配によりうまれたとされます。
東洋圏では古くから尊ばれた植物で、周の時代には栽培されており、唐の時代にはすでに美しい品種がうまれ、詩に詠まれています。宋の時代には菊譜という目録のようなものが複数出されています。
芳香と美、気品があり、君子の風格をそなえることから蘭(フジバカマ)、梅(ウメ)、竹(タケ)とあわせ「四君子」として尊ばれました。
中国文化をうけ、日本では751年に成立した『懐風藻』にその名があり、平安時代以降芸術面以外でも、菊花酒や重陽の節句での観菊会など民俗的にも重用されました。
江戸時代には多くの品種がつくられました。
交配が容易なため現在のキクはコハマギクなど複数の系統も入っていると考えられます。
〔栽培〕日当たりと水はけのよい弱酸性~中性で肥沃な場所を好みます。
肥料はリン酸分を多めにすると花がよくつきます。
日当たりが悪かったり肥料が足りないと花つきが悪くなります。
乾燥を嫌うので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、土壌水分が多すぎると根腐れをおこすので注意が必要です。
日長が13時間以下になると花芽が分化し、半月ほどで蕾ができます。そのため自然に栽培している場合、秋咲きとなります。
増殖は挿し芽や芽分けによります。
病虫害としてはうどんこ病、灰色かび病、アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニなどがあります。