植物図鑑
イトザクラ
サクラ属
イトザクラ
学名:
Cerasus spachiana var. spachianaf. spachiana
〔基本情報〕高さ20m、幹径1mときに3m以上にもなる落葉高木。
エドヒガンのうち枝が長く枝垂れるタイプ。
幹は暗灰褐色で、縦に不揃いな浅い割れめがあります。
若い枝は灰褐色で軟毛があります。
葉は長さ3.3~8.8cm、幅1.8~4.5cmの長楕円形~狭倒卵形で、先端は鋭くとがり、基部は広いくさび形です。
葉の基部または葉柄の最上端に2個の蜜腺があります。
葉の表面には軟毛がまばらにはえ、裏面は脈に沿って開出毛が密にはえます。
葉の側脈は10~14対と多いです。
葉柄は長さ2~2.7cmで上向きの毛が密にはえます。
葉の縁には先が腺で終わる浅い鋸歯があります。
葉の展開より前に開花します。
花は葉腋につく散形花序に2~5個つき、ふつう淡紅色、ときに白色や紅紫色となる5弁花で径1.5~2cmです。
花弁は長さ10~12mmで楕円形~倒卵形です。
萼筒は長さ5~6mmの基部が球状に膨らむ短い壺形です。
萼裂片は縁に細かい鋸歯があります。
萼筒・萼裂片には開出毛があります。
花柄はごく短く、小花柄は1~1.4cmで開出毛が密生します。
果実は径9mmの球形で黒紫色に熟し、渋味があります。
〔栽培〕増殖は実生、挿し木、接ぎ木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。
〔備考〕樹勢が強く長寿なので名木古木が各地にあります。