植物図鑑
啓翁桜
サクラ属
啓翁桜
学名:
Cerasus ‘Keio-zakura’
〔基本情報〕
サクラの園芸品種。
落葉小高木。
樹皮が黒っぽいです。
小枝がよく分岐し、枝先がやや波打って横に広がり、球状の樹形となります。
しばしば幹から気根がでます。
葉は互生する単葉で、長さ10cm、幅5.5cmの楕円形または倒卵形となり、葉先は尾状にのび、表面は濃い緑色で光沢があって短毛が多くはえ、裏面はわずかに白色を帯びてまばらに長毛がはえます。
葉の縁にはまるみを帯びた重鋸歯があります。
葉柄は暗紅紫色で、上端に蜜腺が1~2個つきます。
葉が出る前に開花します。
花は葉腋に出る散形花序に2~3個ずつつき、径2cmほどの5弁花で、淡い紅紫色、花弁は長さ1cmの広卵形~円形で先が大きく2裂します。
萼筒は広鐘形で基部に毛がはえ、萼裂片は長楕円状披針形で全縁となりやや縁毛があります。
小花柄には毛が多くはえます。
敬翁桜(ケイオウザクラ)の別名をもつ東海桜とは樹形が異なり、東海桜はほうき状、啓翁桜は球状となる点で区別できます。
〔来歴〕
福岡県久留米市で吉永啓太郎が、シナミザクラの台木にコヒガンザクラを接木して得られた枝変わりです。
これに花卉研究家の弥永太郎が作出者の名から啓太郎桜(ケイタロウザクラ)と名づけ、のちに切花用品種として啓翁桜の名で販売されるようになりました。
こののち、兵庫県宝塚市で啓翁桜の実生から選抜された品種が敬翁桜(吉永啓太郎翁を敬う)の名で販売され、名称の混乱が起きました。
〔栽培〕
増殖は挿木、接木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。