植物図鑑
ブコウマメザクラ
サクラ属
ブコウマメザクラ
学名:
Cerasus incisa var. bukosanensis
〔基本情報〕落葉低木~小高木。
岩礫地で多くみられます。
幹が基部から分岐して傘状の樹形となり、枝はマメザクラよりやや太めです。
樹皮は紫褐色で、不規則に浅く割れ、横に並ぶ皮目が点在します。
若い枝はジグザクになります。
葉はマメザクラより丸みがあり、質が厚く、長さ5~8cm、幅3~4cmの倒卵形~卵形です。
葉の先は長く尾状にとがり、基部は円形となります。
葉の縁には先がややまるい欠刻状の重鋸歯があります。
葉には表面の主脈と周縁部を除いて、両面とも毛がありません。
葉柄はふつう無毛でときに斜上毛がはえます。
蜜腺は葉の基部に2個つきます。
葉の展開と同時かやや早く開花します。
花は葉腋に出る散形花序に2個下向きにつき、淡紅色の5弁花です。
花弁は長さ1cmほどです。
雄しべは約38個で、花柱より短いです。
萼筒は長さ8~10mmの筒形で、萼裂片は卵状楕円形で全縁、開花時にほぼ平開します。
萼筒、萼裂片とも濃い紅色を帯びます。
花柄はごく短く、小花柄は長さ8mmで、ふつう斜上毛がはえますが、無毛のものもあります。
果実は黒く熟します。
〔来歴〕本多正次によって1937年にタカネザクラの変種としてブコウタカネザクラという名で発表され、1953年に原寛によってマメザクラの変種と改められ、標準和名も変更となりました。
〔栽培〕増殖は実生、挿し木、接ぎ木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。