植物図鑑
コボウズオトギリ
オトギリソウ属
コボウズオトギリ
学名:
Hypericum androsaemum
〔基本情報〕
高さ60~90cmになる落葉または半常緑低木。
基部からよく枝分かれし、こんもりと茂ります。
枝には稜があります。
葉は対生する単葉で、長さ4~15cmの広卵形~長楕円形となり、つぶすとわずかに芳香を放ちます。
葉の基部は切形~心形となり、しばしば茎を抱き、葉柄はありません。
花は枝先の集散花序に1~11個つき、径1.5~2cmほどの黄色の5弁花で、星形に開くかカップ状になります。
花弁は長さ0.6~1.2cmの卵形で萼片と同じ長さもしくはわずかに短くなります。
雄しべは多数あり、束状には分かれず、長さは花弁の長さの0.9~1倍と花弁とほぼ同じかやや短くなります。
萼片は0.6~1.5cmの長楕円形~広卵形となり、先端は丸みを帯び、全縁です。
萼片は開花期は開出して、果実期には反曲します。
果実は蒴果でまるく肥大し、赤から紫、黒色へと熟すにつれ色が変わります。
花が大きく、葉が赤みを帯びているタイプでは、果実は黒ではなくしばしば赤褐色(錆褐色)を保つこともあります。
ヒペリカム イノドルムとよく似ており、おもに、花弁が萼と同長もしくは短い、雄しべが花弁とほぼ同じ長さ、萼は花期は開出して果実期に反曲する、という点で区別します。
〔利用〕
果実期の枝を花材として利用します。
〔栽培〕
増殖は実生や挿木、株分けによります。
日向~半日陰で風通しがよく、水はけ・水もちがよい肥沃な土壌を好み、強い乾燥を嫌います。
夏の直射日光や乾燥で葉焼けをおこすことがあるので、夏場は遮光するとよいです。
日当たりが悪すぎると花つきが悪くなります。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は夏の乾燥する時期には朝か夕方に水やりをし、それ以外は降雨にまかせます。
施肥は春と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
剪定をおこなう場合は冬におこないます。
病虫害としてはアザミウマ、アブラムシ、カイガラムシ、うどんこ病、さび病があります。
〔備考〕
当初コボウズオトギリの園芸品種として流通したものが、ヒペリカム イノドルムの園芸品種と変更されるなど混乱があります。