都会に住んでいたころは身近でなかった農業ですが、山口県萩市に移住してからはとても身近になりました。しかし、「農家になる」「農業で生活をしていく」というのは、決してたやすいものではありません。
「農業とはどんなものか」を、夏秋トマトの出荷量では山口県で一二を争う農事組合法人「厳島(いつくしま)の恵」で体験をさせていただきましたので、その様子をお伝えしたいと思います。スーパーなどで売っている長ネギが、畑で収穫されてからお店に並ぶまでがよくわかりました。
長ネギの栽培や収穫は機械化がかなり進んでいて、機械を導入できる大規模な農事組合法人などでは、非常に効率的な方法で管理されています。
収穫
トラクターで切り倒すことで、力をいれなくてもスポっと抜けて収穫できます。注意
すべき点は、折ってしまわないようにすること。土をなるべく取っておくことだけです。
長ネギは収穫後、肥料袋の上に運びます。この日は4人がかり約2時間弱で、100箱分のネギを収穫。
この状態では、お店に売っている見慣れた長ネギの状態とは違いますよね。このあと、収穫した長ネギは、ビニールハウスに運ばれて出荷準備作業に向かいます。
収穫作業の効率的なことにも感心しましたが、調べてみたら、長ネギ用の全自動収穫機もあるようです。>>ヤンマーのカタログ( https://www.yanmar.com/media/jp/2017/agri_plus/201703/s_leek02.pdf )
根切り
根っこに泥がついた状態のネギを、まずは根切りします。こんなふうに機械でダンボール箱に入る規定の長さにカットされます。
皮をむく
センサーがついたコンプレッサーで、泥と皮を吹き飛ばします。この力加減が絶妙。
長ネギは折れることなく、薄皮一枚を吹き飛ばす強さであっという間に一皮むいちゃいます。慣れるまでは少々苦労しますが、1時間も作業をすればなんとか慣れてきます。
選別する
機械で自動的に選別。太さによってLL、L、M、S、規格外、に分けられます。
人が行うのはベルトコンベアーで動いていく機械の決まった枠に1本ずつ乗せていくこと。選別機の名前は「チョイサー」。農業の機械の名前はダジャレっぽいものが多くておもしろいです(笑)。
結束と箱詰め
お店で見る長ネギは、2~3本がひとまとめに紫色のテープでまとめられていますよね。それをやってくれるのがこの機械。最終的には人の目で長ネギの状態をチェックします。結束された長ネギは箱に詰められて出荷されます。
種まきと育苗
長ネギの種まきはかなり効率化されていて、こんなふうに専用のチェーンポットという土に溶ける紙のシートに、一気に撒くことができます。一粒一粒種を置いていくのに比べると格段に速いです。
ここからは未体験ですが、伺ったお話をざっくりまとめるとこんな感じでした。
植え付けと土寄せ
畝(うね)に溝を掘って苗を植えます。
伸びてきたら土を根元にかぶせていきます。数回ほど土寄せの作業を行うそうです。
こちらの作業も専用の機械が存在していて、機械化が進んでいるようです。
長ネギの白いとこは土に埋まっていた部分。土から出ている葉っぱは緑色になります。
長ネギの生産は、ここ最近で機械による効率化が進んだようで、専用の機械とその用途には驚きました。もちろん、皮むきも選別も機械を使わずに、手作業や目視で行うことはできます。でも、熟練の技が必要ですし、何よりさばける長ネギの数がまったく異なるのです。
こんなふうにして農作物は安定供給され、日本の食卓は支えられているのですね。
(田舎暮らし イシダヨウコ)