今年の春は開花時期がどれも1週間から10日ほども早くて面喰いますね。植物園では花の見頃情報やベストシーズンに合わせてイベントを企画するのに、花だけ先に咲かれてしまうとスタッフ一同慌てふためくしかありません。
鉢物ならばハウスのなかで日照や温度調整を行い開花期をずらすこともできますが、待ってといっても待ってくれないのが自然現象。これからの花はどうなるのか気になりますが、ひとまずバラのシーズンも今年は例年よりも早く開花ピークが過ぎそうですので、楽しみにしておられる方々はお早めにどうぞ。
さてバラの季節になると共に植えられている植物たちにも目がいきます。なかでもボールのように丸い花を咲かせるアリウムは見応えがありバラに負けない存在感があります。特に大きい花を咲かせるアリウム・ギガンチュームはソフトボール大の紫色の花がボカンと咲いて見事です。湿度の高い日本では球根が夏越しできないので、冬に新しい球根を植え付ける必要がありますが、インパクトのある花壇の演出には欠かせません。
アリウムほどの衝撃はなくても、花壇の縁取りなどに向いていてさらに食用となる愛らしいネギ坊主の花もあります。チャイブは直径3㎝ほどの紫からピンク色の丸い花が咲き、葉も食用になりますが花も食べられます。春から秋の生育期間中は茎を4~5cm残して摘み取れば、2週間ほどで再生するので繰り返し使える万能なハーブです。ハーブというと西洋料理にしか合わないと思われがちですが、香りは単純にネギなので和風でも中華でもなんの料理にでも使うことができます。しかし短い期間でどんどん収穫すると花が開花しにくくなるので、多めに植えておくとよいかもしれません。
ふつうのネギも丸い白い花が咲きます。タマネギ・赤タマネギも似たような花です。どれも完全に花が開ききる前に収穫しててんぷらにすると食感がおもしろくて美味しいです。誰が最初にネギ坊主と呼んだか分かりませんが、毬栗頭(いがぐりあたま)のような花はころころと可愛いものです。食べてよし見てよし植えてよし。ネギの仲間たちの花をお楽しみください。
(水戸市植物公園 宮内元子)