寒い時期に咲く冬の花として、なじみ深いツバキ。
首都圏に住んでいたころは、サザンカとツバキの花の区別さえつかず、日本家屋の庭先に咲いているイメージで、大きなものは見たことがありませんでした。しかし、私が移住した山口県萩市にはツバキが自生する群生林があり、この群生林を見てツバキのイメージはガラリと変わりました。
笠山椿群生林
ツバキの群生林は、笠山という標高112メートルの小さな火山にあります。道も整備されトイレや休憩所もあるので、ちょっとしたハイキングを楽しめます。
ツバキは木の幹の色が白っぽく特徴的で高さもあり、その白い群生林の中を歩くと妖精でも登場しそうな雰囲気です。花の見頃時期には「落ち椿」の赤い絨毯(じゅうたん)がとても美しく幻想的。
毎年2月下旬~3月までのツバキの花の見頃時期には「椿まつり」が開催され、多くの観光客でにぎわいます。今年(2018年)は、2月17日(土)から3月21日(水・祝)まで。
この冬は寒かったので、ツバキの開花宣言(2017年12月26日)がされてからの開花具合が遅かったようです。2月上旬には雪も降り、わずかに咲いた花も凍ったせいか変色しているものもありました。しかし、雪と花のコントラストは大変美しいです。
- 笠山椿群生林について
http://hagishi.com/search/detail.php?d=100090
ちなみに、ツバキは山口県萩市の花とされていて、「萩」という地名の由来として「ツバキ」がつまって「ハギ」となったという説もあるそうです。
ツバキの群生林周辺の見所
笠山の見所はヤブツバキだけでありません。美しい海が広がる景色がすばらしく、海の幸も堪能できます。
「つばきの館」という漁協婦人部の運営するレストランもあり、サザエごはんや甘鯛の煮付け、お刺身などの新鮮でおいしい魚料理のランチもあり、おすすめですよ。
笠山へむかう途中の明神池は「天然の水族館」と呼ばれるほどで、大きな魚がたくさん泳いでいます。地元の漁師たちが漁の安全と豊漁を祈願して奉納した魚が繁殖したものだそう。神社には人懐っこい猫もごろごろしています。
そして、この明神池の敷地内に「風穴」という天然のクーラーがあります。この風穴の場所だけは、猛暑でもひんやり涼しく神秘的。夏はぜひ訪れたい場所です。
ツバキの花の時期は長く、見頃をすぎてもゴールデンウィークごろまではちらほら咲いています。萩市を訪れる際には、ぜひ笠山まで足をのばしてみてください。
(田舎暮らし イシダヨウコ)
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