植物と虫の間には一言では言い尽くせないいろいろな関係があります。そんな中から、今回は虫こぶについてイスノキを例にとってお話しします。
もくじ
- 虫こぶとは?
- イスノキとは?
- 虫こぶとイスノキ
- さいごに
虫こぶとは?
虫が葉っぱや枝、実、芽などの部位に寄生(卵を産み付けるなど)すると、その部分が異常にふくらんで「こぶ」になります。そのこぶが虫こぶで、虫えい、ゴールとも呼ばれます。
ハチやアブラムシ、アザミウマ、グンバイムシなど様々な虫が虫こぶを作ります。虫と植物の組み合わせはだいたい決まっているようです。
虫こぶに興味のある方は『虫こぶハンドブック』(薄葉重:著/文一総合出版)をおすすめします。
イスノキとは?
イスノキは関東南部より西、四国、九州、琉球地方に分布する常緑樹です。庭木のほか公園や神社、植物園などにも植えられています。
日本に自生する樹木の中でも、特に材質が硬くて重い樹木のひとつです。その質を活かして、そろばん珠や木刀などに利用されてきました。ネットで検索すると、現在でもイスノキ材の木刀が販売されていることがあります。
虫こぶとイスノキ
イスノキに虫こぶを作る虫は、アブラムシ類を主として10種ほどいるとされます。主に、葉っぱや枝に虫こぶを作ります。植えられている環境によるものか、虫こぶのデパートのようにやたらついている木、ほとんどみられないなど木に差があります。虫こぶがそんなにたくさんできて、木に悪影響はないのかといつも思うほどです。
今回注目したいのは枝につくこぶで、特に形がユニークです。枝のこぶは高い位置にできることが多く観察しにくいです。周りの地面を探すと、古い虫こぶが転がっていることがあります。見上げてダメなら地表を探してみましょう。
大きさや形は様々で、虫の種類によっても異なります。中は空洞で非常に硬くて丈夫です。穴の開いているものは中の虫が旅立った空き家です。この穴に口を当てて吹くと音が鳴ります。その音が「ヒョ〜」っと聞こえることから「ヒョンノキ」という別名があります。
さいごに
今回は植物というより虫のお話になりました。園芸で虫というと「やっかいもの」と扱われがちですが、虫の視点から観察すると植物の違った魅力に出あえるでしょう。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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