「草木花 × 野草に親しむ」〜ハーブ王子 山下智道さん|エバーグリーン

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植物を好きになるきっかけは人それぞれです。例えば、大好きな人が植物の専門家だったら……。そんな入口から植物に興味を持ち、植物の世界へ足を踏み入れていくということもあるということもあるのではないでしょうか。

今回ご紹介する山下智道さんは、実はシンガーソングライター。一方、子どもの頃から親しんできた野草を取り入れた日本人の智恵や伝統を守り伝えて行こうと、野草研究家「ハーブ王子」としても精力的に活動されています。

 左手にアラメ(海藻)、右手にヨモギを持つハーブ王子こと山下智道さん。

左手にアラメ(海藻)、右手にヨモギを持つハーブ王子こと山下智道さん。

 

山下さんの周りには、シンガーソングライター山下智道を応援する人たちが、彼を通じて、植物や野草に触れ、興味を持ち、いつのまにか、その魅力にすっかり取りつかれてしまったたくさんのファンの方がいます。そしてその輪はどんどん広がり、彼の野草に対する深い知識や想い、わかりやすい説明に、シンガーソングライター山下智道を知らない植物好きな大勢の人たちにも支持されるようになりました。

 

ハーブ王子プロデュースの野草教室

そんな様子を知りたくて、鵠沼海岸で行われた山下さんプロデュースの野草教室にお邪魔してきました。今回は、山下さんと一緒に湘南の浜辺を散策しながら、食べられる野草を摘んで、発酵ジュースを作るというもの。野草好きの(そしてハーブ王子が大好きな)女性10人が集まりました。

会場は、参加メンバーのお一人森本惠子さんのお宅。食べられる野草を使ったお庭のプロデュースも山下さんによるものだそうです。

 

 山下さん監修の庭。食べられる野草を中心に植えられています

山下さん監修の庭。食べられる野草を中心に植えられています

 台風21号の影響で傷んでしまったお庭を手入れ中の山下さん

台風21号の影響で傷んでしまったお庭を手入れ中の山下さん

 

野草を探しに散策へ

ということで、メンバーが揃ったところで、鵠沼海岸に向けて散策に出発です。がしかし、目的は道端にある食べられる野草を見つけること。ちょっと歩いては野草を見つけ、それを山下さんが説明し、摘んでと繰り返すので、なかなか先に進みません。

道端で山下さんが見つけたセンニンソウ

道端で山下さんが見つけたセンニンソウ

高い場所でエビヅルを見つけた山下さん。参加者に見せてくれました

高い場所でエビヅルを見つけた山下さん。参加者に見せてくれました

何かが見つかるたびに山下さんの周りに参加者がこのとおり

何かが見つかるたびに山下さんの周りに参加者がこのとおり

山下さんの説明は、野草の名前だけでなく、効能や生活への取り入れ方まで多岐にわたります。その説明を一言一句たりとも聞き逃さないように、参加者の皆さんは丁寧にメモをとっていました。こうやって、野草の知識をどんどん吸収、深められているようです。

ある参加者はこうやって出合った野草の名前や効能をメモしていました。

ある参加者はこうやって出合った野草の名前や効能をメモしていました。

 

採ってきた野草で酵素ジュース

会場に戻ると、次は酵素ジュース作りです。保存用の瓶に、カットした蜜柑やなどのフルーツ、散策中に摘んできたヨモギ、ハマゴウ、アラメ、天草(マクサ)などの野草、そして砂糖を交互に重ねていきます。それを常温で置いておくと、1週間で酵素ジュースが出来上がるそうです。

この日の収穫です

この日の収穫です

葉っぱだけでなく、こんなにキレイなエビヅルの実も

葉っぱだけでなく、こんなにキレイなエビヅルの実も

テーブルいっぱいに並んだ酵素ジュースの材料。まるで家庭科の調理実習のようです

テーブルいっぱいに並んだ酵素ジュースの材料。まるで家庭科の調理実習のようです

ガラス瓶のなかに砂糖、フルーツ、野草と順番に重ねます

ガラス瓶のなかに砂糖、フルーツ、野草と順番に重ねます

山下さんのワークショップの魅力は、道端の野草を見るだけでなく、実際に摘んで、生活の中に取り入れることまでを目的にしていること。「野草の効能をいかした伝統を守ると同時に日本に復活させたい」という山下さんの強い想いの現れです。

 

ハーブ王子の想いそして希望

ワークショップ終了後、山下さんにお話を伺いました。

参加者と酵素ジュース作りを楽しむ山下さん

参加者と酵素ジュース作りを楽しむ山下さん

 

——— 山下さんが野草に興味をもつようになったのはいつ頃のことですか?

保育園に通っていた頃から、登山家だった父が、国内はもちろん、ネパールやアルプスなど、いろいろな山に連れて行ってくれました。そこで高山植物に出合ったことは大きなきっかけのひとつですね。他にも母と地元の生け花教室に通ったり、押し花の先生をしていた母方の祖母と花を買いに行ったり、家族の影響は大きかったと思います。その頃は、庭に植物を植えて観察するのも大好きでした。

山下さん特製の野草図鑑。13冊目になったそうです

山下さん特製の野草図鑑。13冊目になったそうです

 

でも、中学生、高校生になると、野球をやったり、音楽を始めたり、だんだん植物から離れて行きました。

 

——— その山下さんが、どうしてハーブ王子としての活動を始めたのですか?

高校を卒業してから、生まれ育った福岡から上京し、養成所に通いながら、モデルをしたり、ボーカルトレーニングしたりしていたのですが、ちょっと疲れて癒やしが欲しくなったときは、山に登ったり、川に出かけたり、ベランダで植物を育てたりするようになりました。

あるとき、自分で採ってきた野草を使った料理をSNSに投稿したんです。それが「若い男性がこんなことをしている」と、思いもかけず評判になったんです。そして、野草の観察会の参加者を募集してみたら、すぐに定員がいっぱいになったことで、都会の人はみんな癒しを求めているのかもしれないと実感しました。そこから、ハーブ王子としての活動が始まりました。

積んできた野草をすぐにリースに

積んできた野草をすぐにリースに

 

——— シンガーソングライターの山下さんにとって、ハーブ王子の活動はどう影響していますか?

歌詞を書いたり、イマジネーションが湧いてきたり、植物に触れることでインスパイアされるコトは多いですね。行き詰まったときは、森に出かけてボーッとすることもありますよ。

今は、野草の講師をする機会が増えていますが、ステージで歌うのと、黒板の前で話しをするのは、表現方法が違います。でも、お互いにいい影響を与えているし、勉強にもなっています。

来年は、自然を題材に、音楽と植物を融合させることを考えています。そして、将来の夢は世界が舞台です。世界中の野草を探して、皆さんに紹介していきたいと考えています。

 

——— 山下さんの観察会では野草にこだわっていらっしゃいますが、その魅力はどんなところにあるのでしょうか。

身近にあるということが一番です。山野草だったら、山に登るなど遠出をしなくてはなりませんが、そうしなくてもある程度の量も確保できます。ベランダのプランターで育てることだってできます。野草って日本のハーブでもありますから、ノビルのパスタだったり、ユキノシタ入りのハンバーグだったり、野草鍋だったり、ヨモギのスムージーだったり、いろいろな料理に使うことができます。自然のものをいただくことで、自然のエネルギーを感じたり、自然に感謝したりするようになります。何より毎日の生活が豊かになると思うんですよ。

江の島をバックに参加者と

江の島をバックに参加者と

 

——— ありがとうございました。

 

山下さん主催のイベントはFBやTwitterで確認できます。

ハーブ王子オフィシャルウェブサイト
https://www.tomomichi-yamashita.com

ハーブ王子FBページ
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ハーブ王子 Twitter
https://twitter.com/herbtomo0901


左手にアラメ(海藻)、右手にヨモギを持つハーブ王子こと山下智道さん。