つる性のザッソウが好きで、今までヤブカラシとノブドウを紹介しました。今回紹介するのは、その2種と同じくらい好きなアオツヅラフジです。街中の道端や雑木林の林縁などで、よく見られるザッソウです。正確にはつる性の落葉樹、草ではなく木に分類されます。
見どころは、色づいた実の美しさと、タネの形のおもしろさです。それらも含めて、アオツヅラフジがどのような植物なのか、順に見ていきましょう。
巻きひげは出さず、ツルがくるくると他のものに巻き付いて伸びていきます。ツルはしなやかで丈夫なので、籠の材料にされることもあります。葉っぱは先端の尖ったタマゴ型のほか、浅く3つに切れ込むこともあります。
アオツヅラフジには、雄株と雌株があり、それぞれが雄花と雌花を咲かせます。花は非常に小さく、黄白色であまり目立ちません。萼と花びらは6枚で、花びらの先端はV字型に浅く切れ込みます。雄花と雌花の違いは、花の中心部分を見るとよくわかりやすます。雌花は中心部分が緑黄色で丸く盛り上がっているのが特徴です。
雌株は花後に実を付けます。果実はまん丸で、数個から十数個程度がまとまって付きます。
果実は秋に熟して、黒っぽい藍紫に色づきます。表面は、うっすらと白粉を吹いたようになります。色合いだけだと、ブルーベリーのようです(しかし有毒です)。
近所に毎年生えてくる場所があるのですが、この時期だけはふと足が止まります。
果実の中には普通、一粒のタネが入っています。タネは表面に細かい溝があり、くるっと丸まったような?形をしています。丸まったイモムシやアンモナイトの化石のような、面白い姿です。
もし道端で出会うことがあれば、ちょっと観察してほしい、アオツヅラフジを紹介しました。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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