関東ではサクラの花も散ってしまい、季節が一巡したのを感じますね。冬に外植えにしたパンジーやビオラ、ストックなども再び勢いを取り戻してもりもりと大きく茂りながら花が咲くようになりました。スプリングエフェメラル・春の妖精と呼ばれる初春にだけ姿を見せる植物は、もう葉を茂らせるのみか地上部から消えようとしています。
初春から本格的な春まで花壇を彩ってくれたクリスマスローズもかなり色褪せてきています。花があるように見えますが、うつむいた花をのぞき込んでみると、特徴の一つだった沢山の蕊(ずい・しべ)がなくなっていて代わりに3つか4つの巾着袋のような物が花の中心に集まっているのが分かります。この中に種子が詰まっています。
そもそも、クリスマスローズの花に見えている部分は花弁ではなく葉の一部が花弁のように変化しているものです。咲き始めはピンク色や白色がくっきりと、黒色系のものも艶やかな色合いでも日が経つにつれてくすんだり緑色がかってきたら花が終わり、種子ができ始めています。ここまできたら思い切って花茎で切りましょう。切った花は切り花として飾ると長く楽しめますし、株自体は種子にまわす養分を株自体に蓄えられるので植物にも人間にとっても一石二鳥です。
切るときに忘れてはならないのが鋏の消毒です。特にお手元にクリスマスローズの株が何株もある方は1つの株に使用したハサミでそのまま別の株を切らないように気をつけてください。何丁も用意できるわけではありませんから、バケツに消毒剤を入れて用意しておくとよいでしょう。クリスマスローズにはブラックデスという葉や茎に黒ずみが生じる病気があり、これがハサミを介してうつりやすいのです。この病気にかかった株は見つけ次第即、株を抜いて焼却してしまわないとほかの株に蔓延し壊滅的な被害を与えるのでハサミの使い回しで病気を人為的に広げないように予防してください。
切り花を長く楽しむには器に溜めた水の中で茎を切る水揚げよりも、一瞬ですが茎の先端を湯につける湯揚げのほうが効果的です。花が湯気で傷まないように新聞紙などで包んで茎だけを湯に浸けると良いでしょう。引き上げたらすぐに冷たい水に移してください。
秋の管理は2018年12月のコラムに掲載しました。春と秋の管理でクリスマスローズを大株に育ててお楽しみください!
(水戸市植物公園 宮内元子)