今回は、高山帯の岩場などで見られる「ツクモグサ」を紹介します。
キンポウゲ科オキナグサ属の多年草で、高山帯の岩礫地や風衝草地などに生息します。日本固有種で、本州のごく一部と北海道数か所の山に分布する貴重種です。
茎葉は3枚で、下の写真のように輪生します。葉柄はほとんどなく、基部は合着せず掌状に深く裂けています。花期は5〜6月ですが、本州で確実に花と出あえるのは5月下旬~6月上旬でしょう。
しかも、陽が当たらないと花が開かないので天候の良い日が条件になります。上の写真は同じ日に撮ったものです。2枚目は午前8時ころで陽は当たっていますが、北西斜面のせいかまだ開いていませんでした。同じ日の別のところで撮った3枚目は正午ころで完全に開ききっています。
花は茎の頂部に1個つきます。杯状で、径は約3.5cmで上向きに開きます。萼片は6枚あり、長楕円形~楕円形で外側には白くて長い毛が生えています。内側は淡黄色です。1〜2枚目の写真で葉や茎にも白毛がついているのがわかりますが、寒さにも十分耐えられるそうな高山植物ですね!
これまで何度もツモグサの花を写真に納めようと計画していましたが、時期や天候などタイミングが合わずに実現できていませんでした。2022年6月初め、曇り予報でしたが決行した甲斐がありました。予想外に天候にも恵まれて念願のツクモグサの花に出あうことができました。
ツクモグサは比較的平坦な草地のほか、1枚目のような崖っぷちにも群生しています。写真に夢中になり過ぎて危険を冒すことのないように、くれぐれも安全第一で行動しましょう!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))