今年、東京では3月5日に春一番が吹きました。吹いたと知ると春が近づいてきている気がするし、日差しもなんだか温かくなったように感じる安直さですが、風はまだ冷たい。それでも今年一年はどんな花に出あえるだろうかとワクワクする季節ですね。
寒々しかった植え込みも球根が芽を出し、パンジーやビオラ、ガーデンシクラメンたちも花付きが良くなって彩が増えてきます。今回はこの時期にやっておきたい管理作業を紹介しましょう。
花を摘んでいますか? せっかく咲いた花を摘むなんてかわいそう、もったいない、なんてことを! まさかお手洗いに行くときの隠語?
いえいえ、言葉通り「花を摘む」のです。もちろん咲きたての美しい状態を摘むのではありません。開花した後、萎れて終わってしまった花のことです。花はそもそも私たちの眼を楽しませるために咲いているわけではありません。
開花して受粉し、種子をつけて子孫を次へ繋げるために咲いているのです。ですから開花後には種子をつける働きはまだまだ続いています。良い種子を作ることが目的なのです。そのため、うまく受粉して種子ができた場合、種子を充実させるために優先的に栄養を送ります。しかし私たち人間は、もっともっと花がたくさん見たいのです。種を作るより花を咲かせて欲しい! そこで花摘みです。
萎れた花は茎の根元から摘み取るようにしましょう。1本の茎に次々に蕾がつくタイプの植物の場合は、蕾を傷つけないように注意しながら萎れた花だけを摘みとります。鋏を使ってもよいですが、柔らかい茎の植物であれば、爪でプチプチ摘まむ程度できれいに摘み取れます。花を摘むことによって、植物は種子を作るためにもさらに花を咲かせるようになります。
逆に萎れた花を残したままだと、見た目も美しくありませんし、カビたり腐ったりする原因にもなります。球根植物の場合だと種子を作らずに球根に栄養を溜め込みやすくなり、翌年用の球根をしっかり充実させることもできるので一石二鳥です。
こまめな管理が花を長く楽しむコツになります。1日1回どんな花が咲いているか楽しみながら、プチプチ花を摘んであげてください。
(宮内元子)