見て楽しみ、食べて楽しむ。お花野菜 エディブルフラワーをご存じでしょうか。東京清瀬市の横山園芸の代表社員、若き園芸家、横山直樹さんは、この数年、このエディブルフラワーの生産に力を入れて来ました。エディブルフラワーをきっかけに、年齢や性別を超えて、花のファンがますます増えることを願っています。
見て良し、食べて良し、お花野菜 エディブルフラワーの魅力
最近、街の花屋さんで500円くらいのミニブーケを買って、テーブルに飾る人が増えてきました。それと同じような存在にエディブルフラワーがなったらいいなと横山さんは言います。エディブルフラワーは、まずは食卓に飾って目で楽しみ、次に食べて楽しむことができるから、会話がどんどん広がりますね。
ということで、横山さんが丹精込めて育てているエディブルフラワーを試食させていただきました。
初めて口にするエディブルフラワー。まずは、花壇でもよく見かける「ビオラ」。横山さんの「パクッといっちゃってください」の一言に、「えいっ」。食感はちょっと違うけど、生野菜となんの変わりもありません。エグミもなく、とても食べやすいです。続いて「パンジー」。最初は花の香り、次は蜜の甘み、そしてスッと鼻が抜けるハッカのような味に、次々と異なる感触が味わえます。
「ナデシコ」は、子どもの頃、競って蜜を吸ったサルビアのような味がします。
そして、横山さんイチオシの「ベゴニア」。花だけでなく、葉っぱも楽しめるそう。口にした瞬間、梅干しのような酸っぱさが広がります。葉っぱの上に、脂分の多い肉やチーズを置いて、その上に赤い花びらを置く。一品料理として十分に成立しそうです。
「ナスタチウム」は、わさびそのもの。サンドイッチの具やお刺身のツマ、ハンバーガーに添えるピクルスの替わりなど、さまざまな役割ができそうです。
試行錯誤を繰り返しおいしいお花野菜 エディブルフラワーを育てる
「お花野菜 エディブルフラワーと普通のお花の違いは、(1)農薬をかけているかいないか、(2)食べて毒ではないか、(3)食べておいしいかどうかです。同じ花でも、品種や色、育て方で味が変わってくるので、非常におもしろいです。香りや甘みがありえぐくないことを突き詰めて生産しています。」
「最近、花を見ると食べることしか思い浮かばなくて……」と、横山さんは笑います。しかし皮肉にも、横山園芸の主力商品である原種シクラメンもダイヤモンドリリーも毒性が強く食べることができないのだそうです。だから余計に食べられるエディブルフラワーに惹かれるのかもしれませんね。
横山さんがめざすのは、エディブルフラワーを嗜好品でなく、必需品にしていくこと。一時のブームで終わらせるのではなく、生活や食事のなかで当たり前の存在に育てていきたいと考えています。そのためには、SNSで発信するだけでなく、さまざまな分野の人と手を繋いで、イベントを開催し、リアルな場面でもファンを増やしていきたいと話します。
横山さんの想いが広がって、日本の食卓にいつもエディブルフラワーが置かれるようになる時代は、すぐそこまで来ています。
続編では原種シクラメンについてお届けいたします。乞うご期待。
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