今回はヒイラギにまつわるお話です。
ヒイラギは日本や台湾に自生する常緑樹で、庭木や生垣として植えられています。名前の語源は古語で「痛む」という意味の「疼(ひいら)ぐ」(現代では「うず-く」と読みます)に由来します。葉っぱにトゲがあり、触れると「痛い」のが理由です。
比較的大きくなる樹木で、生長すると5mほどの高さになります。キンモクセイやギンモクセイに近い植物で、ギンモクセイとの雑種であるヒイラギモクセイも庭木として利用されています。
葉っぱは濃い緑色で光沢があり、縁が鋭く痛いトゲになります。ヒイラギといえばこのトゲトゲの葉っぱを連想する方も多いのではないでしょうか。木が若いうちはトゲトゲの葉っぱを出しますが、老木になるとトゲのない葉っぱも出すようになります(先端のみ、鋭くとがります)。まるで「年をとって丸くなる」かのようです。
花は晩秋~初冬に咲きます。色は白で枝にくっつくようにかたまって咲き、すっきりした上品な香りを放ちます。キンモクセイより控えめな香りで、個人的にはこちらの方が好みです。
ヒイラギと言えばクリスマスを連想する方も多いでしょう。丸くて赤い実とツヤツヤした濃緑色の葉っぱはクリスマスカラーといった雰囲気です。しかし、ヒイラギは黒紫色をした楕円形の実を付けます。赤くも丸くもありません、どういうことでしょう?
クリスマス飾りの赤い実を付けるヒイラギはセイヨウヒイラギ、ヒイラギモチ、アメリカヒイラギなどです。ややこしいので、これらをホーリー(holly:英語でヒイラギの意)と呼ぶことにします。ホーリーはモチノキ科モチノキ属でヒイラギはモクセイ科モクセイ属です。混同されがちですが、ヒイラギとホーリーは分類上、別物の植物です。
ヒイラギモチは中国、朝鮮半島原産、トゲのある角張った葉っぱが印象的で、チャイニーズホーリーとも呼ばれます。
どちらも葉っぱにトゲのある常緑樹ですが、ヒイラギは対生、ホーリーは互生なので、迷ったときは葉っぱの付き方を見てください。
以上、ヒイラギにまつわるお話しでした。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)