今回は、冬枯れの野山でひときわ目立つ「アセビ」を紹介します。
ツツジ科アセビ属の常緑低木~小高木で、宮城県以南から関東、中部の太平洋側と近畿、中国、四国、九州の乾燥気味の山地などに生えます。
有毒植物なので鹿を含む草食動物が食べないことから、特に放牧地などでは目立ちます。
花期は3〜5月ですが、伊豆半島などの温暖地域では2月中旬頃から、枝先からたくさんの花を付けた円錐花序が垂れ下がるのが見られます。花冠は白色の長さ5〜8mmの細い壺形で、先は5つに浅く裂けます。
9〜11月に直径5〜6mmの実(朔果:上の2枚目の写真)を付けます。熟してくると同じく右上の写真のように上向きに開き(くす玉の逆さまのイメージ)、中から種がこぼれ落ちます。実の熟す時期にはもう来春のための蕾ができ始めます(下の3、4枚目の写真)。この状態で冬を越すことになります。
アセビを森林セラピ-で利用する機会はごくまれですが、若枝時の短毛・葉っぱ・実や蕾の手触りがおもしろいことから、触覚に興味のある方には触れていただくことがあります。口に入れない限りまったく害はありませんので、一度は触っていただきたい樹です。念のため、指に傷口がある場合は触れない方が無難でしょう。
春の華やかな花だけではなく、冬枯れに目立つアセビにも出あってみてください!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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