植物図鑑
セイヨウヒイラギ
モチノキ属
セイヨウヒイラギ
学名:
Ilex aquifolium
〔基本情報〕
原産地では高さ10~25m、幹径40~80cmほどになる常緑高木。
樹形は円錐状です。
葉は互生する単葉で、長さ5~12cm、幅2~6cmの楕円形で、厚みがあり、表面に光沢があります。
若い木の葉や、成木の下方の枝につく葉では、葉先は鋭く刺状に尖り、葉の縁に先端が鋭い刺状になる鋸歯が数対ついて波状になります。
成木の上方の枝につく葉はほぼ全縁となります。
雌雄異株です。
雄株・雌株とも前年に出た枝の葉腋に花序を出し、雄花は集散状に、雌花は単生または集散状につきます。
花は白~クリーム色の小さな4弁花です。
果実は径6~10mmの球形で赤く熟します。
果実は寒さにあたる前は苦いため、鳥などに食べられずに冬まで残ります。
〔来歴〕
ヨーロッパでは古くからドルイドにより聖木とされました。
古代ローマ時代、冬至前後におこなわれた農業神の祭りにも利用され、これがキリスト教へ伝わって魔除けとしてクリスマスに飾る慣習になったとされます。
葉の刺や赤い実はキリストの荊冠と血に結びつけられます。
〔栽培〕
増殖は挿木、接木によります。
実生も可能ですが、種から育てると雄株と雌株が出てしまいます。
播く場合は、熟した果実を収穫して果肉を洗い流し、種子が乾燥しないよう湿らせたバーミキュライトなどに埋めて冷暗所で保存し、翌年の3月~4月に取りだして、播く前にもう一度よく水洗いをします。
冷涼な地域に向く植物です。
日向~半日陰で水はけがよく、腐植質に富んで適度に湿り気のある土壌を好みます。
日当たりがよい方が実つきはよいですが、強い西日や乾燥する場所は嫌います。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
地植えの場合はよほど晴天が続いて乾燥しないかぎりは必要ありません。
施肥は寒肥として堆肥を株のまわりに数か所穴を掘って埋めます。
病虫害としてはすす病、カイガラムシなどがあります。