渋谷区ふれあい植物センターの入口上部には、蔓(つる)性植物が伸びるための金属ネットの部分があり、夏場にはさまざまな蔓性植物を展示しています。そのなかでも、お客様から「あの…、あの気持ち悪いニョロニョロは一体なんですか?」とよくご質問される植物があります。それが、ヘビウリです。
名前のとおり蛇のような瓜。恐る恐る名前を尋ねた方も「ウリです」と答えると次の質問は決まって「食べられるんですか?」。みなさん、食いしん坊さんだなあ(笑)。
ヘビウリはインドが原産地のウリ科の植物です。日本には明治時代に渡来しました。学名でも「くねくねした、蛇のような」という意味の名前が付けられているので、全世界共通で見た人は蛇を連想するようです。
ところがどっこい、見た目の悪さとは裏腹に食べてみるとこれが美味しいのです。日本では見た目の悪さから「食べたい」思う方が少ないのか浸透していませんが、東南アジアからインドにかけては日常的に食べられている野菜なのです。
植物センターでもご近所にお住いのフィリピンの方が「あー! 日本では売ってないけど美味しい! 食べたいよ! ちょうだいよ!」とラブコールが凄かったり、通りすがりのインドの方が「これカレーにすると超美味しいの」と教えてくださったりと大人気です。
植え付けはゴールデンウィーク明け、気温が安定してから。大きく伸びるので、できるだけ早く植え付けます。白いレース状の花が朝早くに開花します。収穫するのは、ウリがなって長く伸びたら30cm以内がよいでしょう。時間が経つと筋が多くなり食べるのには適さなくなります。そのまま栽培すると、だんだんウリの下部分から黄色→オレンジ色に変色していき熟します。完全に熟して皮が破れるくらいになると翌年用の種子が採れます。
味はキュウリから青臭さを抜いた感じでシャクシャクの食感が爽やかです。皮をピーラーで剥き、半割にして中の種子を出します。薄く輪切りにして軽く塩もみして浅漬けにしたり、ざく切りをお肉と塩胡椒で炒めたりとクセがないので何にでも合う野菜です。
遠くから見ると蛇がブラブラぶら下がっているようで一瞬ぎょっとしますが、育ててみるとなかなかおもしろい植物です。ゴーヤやアサガオに飽きてきてしまった方は、来年の夏の緑のカーテンにいかがでしょうか。