[マルバルコウ]花を見てその名を思い出した、マルバルコウ|ヒルガオ科サツマイモ属|エバーグリーン

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夏の頃、近所を歩いていたとき道端である植物と目が合いました。その植物は、つるがらせんを描くようにフェンスに絡まり、ハート形の葉っぱが重ならない程度にたくさんついていました。フェンス一面に絡まっているので生育旺盛なようです。なかなか可愛らしい葉っぱだけど、なんだったかな? と考えても名前が出てこない、でもたぶん知っているハズ。

ハート形の葉っぱ

ハート形の葉っぱ

 

秋口にその場所を通りかかると、その植物が漏斗(ろうと)型の小さな花をちらほら咲かせていました。花色は朱色というか濃いオレンジというか、とにかく鮮やかな赤系の色合いでけっこう目立ちます。その花を見て、「なんだ、マルバルコウだったのか」と疑問がパッと解決しました。ふだん花ばかりに目がいって、いかに葉っぱなどほかの部分を観察していなかったか、猛省した昔の思い出です。

マルバルコウ

マルバルコウ

 

マルバルコウは熱帯アメリカ原産でマルバルコウソウとも呼ばれます(図鑑によって表記が違うのでどちらが正式和名かわかりませんが、本稿では「マルバルコウ」で通します)。日本には江戸時代に鑑賞目的で入ってきたとされます。今では鑑賞どころか、荒れ地や畑地にはびこるザッソウと化しております。畑地では特にダイズ畑をあらす害草として知られます。

サツマイモアサガオでお馴染みのヒルガオ科サツマイモ属に分類されています。筆者は秋口に花を見ることが多いですが、図鑑を確認すると夏から咲いているようです。

マルバルコウの花 鮮やかな赤色系で五角形

マルバルコウの花 鮮やかな赤色系で五角形

 

つる性のザッソウは強健で繁殖力の強いモノが多いですが、マルバルコウもご多分に漏れず生育旺盛です。近くに体を支えるモノがあれば無遠慮に絡みつき、なければつる同士が絡み合って上に伸びていきます。一年草ですが毎年同じ場所で見かけるので、周辺にタネをまき散らしているのでしょう。タネの形はアサガオのタネに似ています。

つる同士が絡み合った姿

つる同士が絡み合った姿

 

マルバルコウは、近い仲間のルコウソウと比べて葉が丸っこいので丸葉のルコウソウという意味で付いた名前です。

ここでルコウソウにも少し触れておきます。ルコウソウは熱帯アメリカ原産のつる植物で、花や繊細な雰囲気の葉っぱが美しく、園芸植物として広く栽培されています。漢字を当てると「縷紅草」です。縷は「糸のように細い」という意味で、葉っぱが糸のように細く切れ込む姿に由来します。紅は花色から来ていますが白花もあります。

以上、マルバルコウでした。

 

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 


マルバルコウの花 鮮やかな赤色系で五角形