「若い芽を摘む」
嗚呼、なんと甘美なる響き!「私この言葉大好き!」というと、眉を顰(ひそ)める方がおられることと思われますが、いえいえ違うんです。未来ある若人をいたぶろうなんて腹黒い思いは、どこにもございません。食べ物の話ですよ。新芽ってなんでも美味しいよね、って話ですってば。
自分で野菜を育てそれを食卓に載せる。それってあこがれますけど、さりとて自宅には庭もないしベランダも狭いからどうにもならないんですよ……、という悩みをこぼされる方がおられます。そんなときに私がオススメしているのが、野菜を大きく育てずに新芽のうちにどんどん食べしまう方法です。
カイワレ大根や豆苗、ブロッコリースプラウトなど、スーパーや八百屋さんでも見かけるこれらの野菜たちは、すべて植物の新芽です。1パックだいたい100円から200円で販売されていますが、種子袋を1袋買って蒔(ま)けば200円で何回収穫できるでしょうか。大きく育てる前に収穫してしまうので、栽培期間が短く手間もかからないのがうれしいところです。
育てるのに適している種子は、葉もの野菜です。キャベツやコマツナ、ブロッコリーなどのアブラナ科はもちろんですが、ネギやチャイブなどの葉っぱを食べる野菜を選んでみるのもよいでしょう。1種類ずつ分けて栽培するのもよいですが、すべての種子を一つの袋にミックスさせて蒔き、どんな芽が出てくるのか楽しみに待つのもおもしろいものです。
栽培するのに大きな植木鉢を準備する必要はありません。小さなプランターやお魚屋さんで使っているような発泡スチロールの箱を準備し、種を筋状にパラパラ蒔いていきます。芽が出るまでは土が乾燥しないように新聞紙などをかけておくと良いでしょう。
発芽して生長してきたら、日当たりの良い場所で管理しましょう。大きくする必要がないのでどれも10cm程度に育てば、根元から摘んでミックス野菜サラダにしたりお味噌汁に入れたりして使ってください。
なにか育て始めたいけど、まだ遅霜が怖くて外で育てるのがちょっとというこの時期。お家のなかでかんたん菜園を楽しんでみませんか!