今回は日本全国に分布する「ニリンソウ」です。
ニリンソウは、林縁(りんえん)や林床(りんしょう)に生えるキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、長時間直射日光が当らない小川のそばでよく見かけます。
あまり長くない根茎(こんけい)が横または斜めに伸び、その先から1〜3本の花茎(かけい)が束状に生長するので、上の写真のように群生していることが多いです。
花茎は15〜30cm程度で、上の写真のように茎から直に3枚葉が出て輪生(りんせい)し、深い切れ込みが特徴です。
花期は4〜5月ですが、標高の高い地域では遅く5月下旬まで見られます。花茎の最上部に直径約2cnの白色の花を1〜4個付けます。下の写真のように裏面が紅色を帯びるのもあります。
同じ仲間のなかに名前も似ている「イチリンソウ」と「サンリンソウ」があります。イチリンソウは名前が示すとおり、直径4cmの花を1個だけ付けるのと、茎葉には柄が付きます。花期はニリンソウと同じ頃ですが、本州以南の日本全国に分布します。
サンリンソウはニリンソウと見分けにくいですが、花がひと回り小振りで茎葉にハッキリした柄が付きます。花期が6〜7月の暖かい時期で、本州中部以北の温帯上部~亜寒帯に分布します(南アルプス北岳の“草スベリ”などで見られます)。
「ハクサンイチゲ」が有名ですが、「…イチゲ」の名が付けば同じ仲間です。
イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウは、パッと見た目は似ていますので、ジックリと観察してみましょう。その際、花の香りをかいでみたり、茎や葉っぱなどに触れてみてください。新しい発見があるかも知れません。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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