春になると冬のうっぷんを晴らすように、そこかしこで植物が芽吹きます。庭の隅や道端でもさまざまなザッソウ(雑草)が目覚め、ぐんぐん茎葉が伸びて花を咲かせます。
今回紹介するキュウリグサも春に花咲く雑草です。私の住んでいる京都では3月頃から歩道の端っこや公園、原っぱなどで花を咲かせています。
拡大してじっくり愛でる花
花はごく小さく2~3mmしかありません。色は水色で中心部分に黄色い「目」があります。植物に詳しい方なら直感で「ワスレナグサみたい」と感じるのではないでしょうか。属は違いますがどちらもムラサキ科です。
肉眼でも花の形や色を確認できるのですが、ここはぜひルーペを使ってじっくり観察してください。デジカメのマクロモードで撮影し、確認画面で拡大してみるのもありです。その可愛さがよりわかるでしょう。
花茎くるんくるん
花にはもうひとつ可愛らしい部分があります。花茎(花序)の先端がくるんと内側に巻き込むところです。これから咲くつぼみを大事に守っているのでしょうか? 全体が柔らかい毛で覆われています。
花が咲き進むと、花茎はほどけてまっすぐになります。このような花茎を専門用語で「サソリ型花序」「巻散花序」といいます。ムラサキ科で多く見られる形態です。
キュウリのにおい?
葉をちぎったりもんだりするとキュウリのようなにおいがするのがこの名前の由来。
単に青くさいだけなのですが、名前と由来を知っているとキュウリのにおいに感じてしまうので、いい加減なものだなと自分にあきれます。英語でも「cucumber herb」(cucumber=きゅうり)といいます。みなさんも確認してみてくださいね。
キュウリグサは小さくて気づきにくい雑草ですが、じっくり観察するとその魅力がわかります。みなさんも観察してみてくださいね。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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