柿というと、秋の果物として欠かせませんね。では、柿の花を見たことがある人は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。
柿の花は、虫媒花にしては小さくて目立ちません。雌雄同株なので、1本の木に雄花も雌花も咲くはずなのですが、雄花は特に小さくて見つけにくいかもしれません。
様々な用途があるカキ
カキ(カキノキ科カキノキ属)は、もともと東南アジアの固有種で、中国の長江流域に自生していました。欧米では、日本から広まったこともあって、学名にもkakiの名が使われています。カキの実は食用、幹は家具建具材料、葉はお茶としてなど、たくさんの用途があります。また、カキから作られる柿渋は、防腐剤としても優れた効果があることが知られています。
甘ガキと渋ガキ
ご存じのとおり、カキには甘ガキと渋ガキがありますが、もともと柿は渋ガキで、渋くなくなったものを甘柿といっています。しかし、すべてのカキで渋が抜けるわけではありません。そもそも、カキの渋みは、カキに含まれるタンニンによるものです。カキの実が熟す前は、タンニンが水溶性のため、口に入れるとタンニンが唾液に溶け渋みを感じます。しかし、カキが熟すと、タンニンが不溶性になり唾液に溶け出さないため、渋く感じなくなるのです。
甘いカキには、よく黒い粒(ゴマといわれるもの)が見られます。実は、このゴマこそが不溶性になったタンニンの姿です。「ゴマがあれば甘い」といわれるのはタンニンが唾液に溶け出さないよう変化している証拠だからです。ただし、ゴマが見られても、100%甘くなっているとはいえないのが、頭が痛いところです。
干し柿を作ってみましょう
渋ガキをおいしくいただく定番というと、干し柿ではないでしょうか。干し柿は、朝夕が少し肌寒くなってきたら作り時です。基本的な作り方をご紹介します。チャレンジしてみませんか。
- ヘタを残して皮をむく
- 50~60cmの荷造りヒモの両端に、皮をむいた柿を結ぶ
- 重ならないように干す
- 物干しさおやハンガーなどを使って干しましょう
- カビが生えやすくなるので、雨に当てないように気を付けてください
- しっかり干したいときは1カ月。やわらかい方が好みなら10日~2週間程度干します。
- 保存の仕方
- カビ防止に焼酎を霧吹きで吹き付ける
- 個別にラップで包んで冷凍する(2〜3カ月ほど保てます)
- 柿の花言葉:「自然美」「優しさ」「恩恵」「優美」「恵」
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 柿渋を使った団扇(うちわ)。100年以上もつといわれています
- 基本的な作り方を紹介しています。干す長さは好みで調整しましょう
簡単に作れる伝統のおやつ 手作り干し柿のレシピ(All About)
- 見分けるのはむずかしい。でも、甘くする方法はいくつかあります
渋柿と甘柿の見分け方は?品種によって違う?味を変化させる方法は?(はるぐまインフォメーション)
- 鉢で育てれば、早めに収穫できるようです。育ててみませんか?
- 裏作、表作って何が影響するのか……。けっこう複雑なんです
- カキって、健康にも役に立ちそうです。ただし食べ過ぎには気をつけて!
(エバーグリーン編集部 愛垣)
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