よく見かけるけれど、名前がわからない花。気にはなっているけれど、調べるほどではない存在の花ってありませんか? 私にとってのフジバカマがそう。秋の七草の一つであることは知っているけれど、どうしても名前と花が一致しない存在です。
フジバカマは、キク科ヒヨドリバナ属の多年生植物です。原産は中国といわれており、東アジア(中国~朝鮮半島、関東地方以西の本州、四国、九州)に、8~10月にかけて見られる花です。草丈は60cm~120cmくらいで、乾燥した茎葉は桜餅のような香りがします。
最近は、自生できる環境が激減して、絶滅危惧種に指定されています。フジバカマとよく間違われる同族のヒヨドリバナが現在も全国で自生して、よく見られているのとは対照的です。
さて、フジバカマといえば、アサギマダラ(チョウ類)に言及しないわけにはいきません。アサギマダラはフジバカマとその仲間の蜜を好んで吸うチョウなのです。アサギマダラは2,500kmもの距離を旅するといわれています。この長旅を支えているのがフジバカマの蜜なのです。というのも、フジバカマの蜜に含まれている毒素(ピロリジジンアルカロイド)を体に溜め込むことで、鳥に襲われにくくなり、長距離を旅できると考えられているからです。
希少になってきたフジバカマですから、アサギマダラの旅も困難が増しているかもしれません。昨年は10月上旬に福岡市植物園(野草園)での目撃情報があったそうです。
今年も、フジバカマが咲く季節がやってきました。アサギマダラの姿がそろそろ見られるかもしれません。楽しみです。
- フジバカマの花言葉:「ためらい」「遅れ」
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 昨年10月上旬に福岡市植物園(野草園)でアサギマダラの目撃情報
- フジバカマが見られる公園。アサギマダラも見られるかも
- フジバカマとヒヨドリバナは、葉っぱで見分けるといいです
(エバーグリーン編集部 愛垣)
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