夏の庭先を彩る植物のひとつに蔓性植物があります。厳しい日差しを遮る緑のカーテンは夏の風物詩ともいえる存在になりましたね。花を楽しむアサガオ、収穫が待ち遠しいゴーヤ、可愛い実が楽しいヒョウタン等、緑のカーテンとして植えられる植物は多種多様です。
緑のカーテンは、夏の間だけ日除けになってくれれば良いのですから、秋には枯れてしまう植物のほうが向いているともいえます。しかし、冬の間も成長してもよいのであれば、「アサガオ」と名がついていても夕方まで花が楽しめる宿根アサガオや、葉を天麩羅やお味噌汁の具にもできるオカワカメも育てるのが面白い植物です。
さて、皆さんのお庭ではどんな蔓性植物を育てていらっしゃるのでしょう?
今回は、蔓性植物で緑のカーテンを「しっかりカーテンらしく」育てるのに重要な摘芯という作業をご紹介します。
蔓性植物を日除けになるくらいびっしり窓いっぱいに育てたいと思っていたのに、寂しく貧弱な蔓が伸びたままでカーテン状にならずに夏が終わってしまった経験がないでしょうか。もしかしてその時1本の蔓を伸ばしっ放しにしていたのではないですか?
しかし、実は1本の蔓だけでは緑のカーテン状にはならないのです。
カーテン状に栽培するためには、摘芯(てきしん)という蔓の切り戻し作業が必須になります。なぜなら、蔓性植物の多くが、発芽して最初から伸びてきた1本目の蔓には、花や実が付きにくいという性質を持っているからです。これは植物の生存競争に打ち勝つための本能の一つです。
蔓性植物は最初に出た蔓がスタートダッシュでグイグイと生長し、他の植物に巻き付きさらに上へ伸びていくことで多く日の光を獲得しようとしているのです。上に伸びている間は、他のことにまで気はまわりません。蔓の先端には最も多くの成長ホルモンが分泌されており、これが出続ける限りはトップを目指そうとするのです。そこで蔓を途中で切ってやると、必ず脇芽が伸びてきます。脇芽が出ると植物は「あ、これで上に伸びなくてもいいだな」と分かって、次に子孫を残すための段階、つまり花や実を付けるようになります。
ゴーヤやヒョウタンなどの蔓で一番、花や実付がいいのは3番目に伸びてきた蔓、孫蔓だといわれています。
つまり、
1回目:親蔓が伸びているのを切る→脇芽(子蔓)が伸びる→
2回目:その脇芽が伸びているのをさらに切る→また脇芽(孫蔓)が伸びる。という順番です。
もうすでに、ネットの上のほうまで蔓が伸びてしまっている株も多いと思います。しかし、今は勢いがよくてもその蔓は、夏の終わりまでしっかり緑を保つのが難しくなります。もったいないと感じるかもしれませんが、背の高さくらいの位置で摘芯してください。
今すぐに摘芯すれば脇芽が出てくるのも早いのでまだ間に合います。ぜひ勇気を出して摘芯にチャレンジしてみてください。園芸界では「若い芽を摘む」は良い言葉ですよ!
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