「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花」ということわざがありますが、この場合のユリは、どのユリを指しているのでしょう。
前回、「アザミ」という名前の花はないという記事を書かせていただきましたが、驚いたことに、「ユリ」も同じ。ユリ科ユリ属に属する100種以上の原種と、生み出された130品種以上の全てが「ユリ」と呼ばれています。つまり、「ユリ」という名前の花は存在しないのです。改めて、思い込みでなく、調べる習慣を身に付けないといけないなと思います。
日本には、15種の「ユリ」が自生していますが、そのうち、「ヤマユリ」「テッポウユリ」「スカシユリ」など8種類が固有種です。
さて、「ユリ(種)」の花は、内側に3枚、外側に3枚の6枚に見えます。しかし、実は外側の花びらだと思われるものは、萼(がく)が色づいた「外花被(がいかひ)」、内側の3枚が本来の花びらで「内花被(ないかひ)」と呼ばれるのだそうです。
私も今年はユリの花を育ててみようと園芸店に球根を買いに行ったところ、おがくずに包まれているのに気づきました。園芸店の方にその理由を聞くと、「ユリの球根は外皮なく、乾燥に弱いから」と教えてくれました。また、オニユリなどの種は、葉と茎のつけ根にできる「ムカゴ」により増やすこともできるそうです。とはいえ、花を咲かすまでに2年から3年という時間がかかります。
これからの季節、さまざまなユリが次々と咲き始める季節です。育てるのはちょっとハードルが高いわというかたは、ユリの名所に足を運んでみてはいかがでしょうか。
エバーグリーン編集部オススメサイト
<日本全国ユリの名所に出かけてみませんか>
- ハンターマウンテン塩原(栃木県)
- 国営武蔵野丘陵森林公園(埼玉県)
- ゆりの里公園 ユリーム春江(福井県)
- 大阪舞洲 ゆり園(大阪府)
7月5日まで。ヘリコプターや気球で上空からゆり園を見下ろせます
- ダイナランドゆり園(岐阜県)
約50種360万輪のユリが楽しめます。見頃は7月中旬から8月中旬
<ユリを知る>
- 和洋東西、こんなにあるゆりの種類
- 基本は同じ。意外と育てやすいようです
- 連作障害が起きやすい? 植え替えのポイント
- 外来種として気をつけたい種類も
シンテッポウユリ(環境省)(PDF)
(エバーグリーン編集部 愛垣)
- 前の記事を読む(植え替えに威力を発揮する「土入れ」)
- 次の記事を読む(葉も種も使える!果実だけじゃないビワの恵みを堪能)