本格的な園芸作業が増えてくる5月になりましたが、同時に害虫の心配も増える季節でもありますね。植物には混植と言い、別々の植物を隣り合わせて植えつけることによって、病害虫を避ける効果がある組み合わせがあります。
例えば、黄色やオレンジ色の鮮やかな花とハスの葉のような丸い葉っぱが特徴的なナスタチウムは、キャベツやソラマメを好むコナジラミやアブラムシが嫌がります。またアリが来るのを防ぐことで庭を健全に保つ効果があります。ナスタチウムの花や葉自体も食用なので、虫除けにも食用にもなり、さらに花壇の彩りにもなる万能の植物といってもよいのではないでしょうか。花の後に実る種子は、すりおろしてワサビのような風味を楽しむことができますので、ステーキの付け合わせに向いています。
種類が豊富なセージ類は、キャベツに集まってくるモンシロチョウが嫌います。また植物全般に対して有害な飛翔害虫を避ける効果があります。セージとローズマリーを交互に植えるとお互いに良い影響を与え合うとされているので、ハーブガーデンのレイアウトの参考にしてみてください。セージ類は香りを楽しむものや薬効のある種類(グリークセージやコモンセージ、パイナップルセージ等)と花の美しさを楽しむ種類(ボッグセージやペインテッドセージ、メドウセージ)に分かれますので、用途に合わせて種類を選ぶとよいでしょう。
ハーブといえば誰もが思いつくのがミントではないでしょうか。たくさんの種類があるので品種の識別は簡単ではありませんが、大きくペパーミント系・スペアミント系・アップルミント系・オレンジミント系・その他に分けるのが一般的です。植物全般に集まりやすいハエを除ける効果があるのでコバエが湧くのが嫌いな方はぜひ植えてください。またキャベツの根っこを食害する甲虫の幼虫を避ける効果もあります。香りや有効成分を利用する他に旺盛な繁殖力を活かしてグランドカバーにすることで雑草の繁茂を抑えることもできるので計画的に植えることをお勧めします。
庭仕事をする時には自分自身に寄ってくる虫も避けたいところです。カモミールの浸出液を肌に塗ると虫刺されを防ぐことが出来ます。浸出液を作るにはカモミールをホホバ油に入れてゆっくり湯煎し有効成分を油中に抽出します。遮光瓶で保存すれば3か月位の保存が効くので、作り置きしておくとよいでしょう。
蚊取り線香で有名なジョチュウギクは人間や動物にはほとんど毒性を示さないのに、昆虫に対してだけ強力な殺虫効果があるピレトリンという成分を保有しています。戦前の日本では国内で盛んに生産され、世界第一位の生産量を誇る重要な輸出品目でした。満開になった花を摘み取り乾燥させて粉状に粉砕してから保存します。粉のままでアリの巣やゴキブリの通り道にまくと効果的です。殺虫剤として使用するには、粉状にした花2gと同量程度のアルコールをよく混ぜて1時間程置いたものを、1ℓの水で希釈します。その液体を散布してください。
ハーブは効果がある反面、間違った使い方をすると有害になることもあります。自分の体調を把握したり幼児やペットから遠ざけて使用したりするなど、注意してくださいね。
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