だんだん暑さが厳しくなってきましたね。毎年夏を乗り越えているはずなのに、この季節になると「何を着たらいいのか分からない」病を発症します。もう暑い気がするけれど、ここでがっつりTシャツを着てしまったら、もっと暑くなったときに着るものがなくなる気がする。でも暑い。何を、何を着れば……。
こんなとき、生育できる季節がはっきり決まっている植物は分かりやすくていいなと思います。春を謳歌していた植物たちはあっという間に勢いを失い、もう夏の植物たちが繁茂しています。この季節に街角で出あうとなんだかうれしい植物に総称「アブチロン」があります。正式名はウキツリボク。チロリアンランプとも呼ばれます。
ウキツリボクはブラジル原産の熱帯花木です。関東地方南部では屋外での冬越しも可能なので庭植えにするのもよいでしょう。コンパクトに成長する低木なので目線の高さで花を楽しむことができます。半蔓性の性質をもつので、行灯(あんどん)仕立てにするとよいでしょう。
ウキツリボクはなんといっても花の形が魅力です。鮮やかな赤色の萼のカップの底から黄色の蕊を覆う花弁が覗くような提灯型の花が枝先にポツポツと開花する様子は、ベトナムのランタン祭りで夜の街を彩る提灯のような愛らしさがあります。
別名のチロリアンランプもここから名付けられました。赤×黄色の花以外にも、ベージュピンクや黄色などの花色もあります。
剪定に強く寒い時期を除けばいつ切っても構わないので、伸びすぎたらこまめに切るとよいでしょう。ただし葉を1枚も残さない剪定を行うと枯れこんでしまうので、大きく切り戻すときでも一番下の葉から2,3枚程度の高さまでは残すように気を付けてください。
根詰まりを嫌うので、鉢植えで管理する場合は1年に1回鉢増しもしくはひと回り小さくしては更新するようにしましょう。挿し木でも容易に増えるので、好きな花が咲いている株があれば持ち主のかたから挿し枝を分けてもらうのもよいかもしれませんね。