関東から山口県萩市に移住し5回目の春を迎えています。私は、昨年から米農家で働いています。これまでの人生で毎日食べてきたお米ですが、米農家で働いてはじめて知ったことがたくさんあり、こんなにも知らないことだらけだったのだな〜と感じています。そんなわけで、農家や米作りをする人たちと関わることがなければ知り得なかったであろう“米にまつわるアレコレ”をお伝えしたいと思います。
コイン精米機とは
まずはこちらをご覧ください。これ、なんだかわかりますか?
そう、コイン精米機です。都心では見かけませんが郊外に行くとありますね。
精米機とは、玄米からヌカを取り除いて白米にする機械です。その精米の度合いによって、3分づき、5分づき、7分づきなどの分づき米。標準的な白米、上白。米の味を損わずに肌ヌカを取り除き、研がずに炊ける無洗米などの状態を選んで精米できます。玄米の方が栄養価は高く、精白の度合いが上がると栄養価は下がるものの、消化しやすく柔らかくなります。
玄米10キロを精米機で「標準」で精米すると9キロほどの白米になります。1キロほどのヌカが取れるということになります。では、そのヌカはどこへ行くのかというと、精米所の後部にある「ヌカハウス」に溜まっていきます。
上部にある筒状の金属部分から、精米された際に出るヌカを噴出して溜めます。そこで、ヌカハウスが満タンになる前にヌカを取り出さなければなりません。このヌカを取り出す作業、これがなかなかの重労働で1〜2週間に1回は行なう必要があります。
少しでも効率化するために、タンクに溜める場合もあります。
ただし、これは周囲にスペースがないとできません。コイン精米所の右側にあるタンクへ、精米機からホースをつないでヌカを風で飛ばして溜めるのです。ヌカを運ぶときには、軽トラックの荷台にフレコンバッグ(*)をおき、タンクの下へ停めます。そして、タンクの入り口の蓋を開け一気にヌカを落とすというやり方。このやり方ならスコップですくって運び出すという手間はありません。
*フレコンバッグ=フレキシブルコンテナバッグ。粉末や粒状物の荷物を保管・運搬するための袋状の包材のこと。
コイン精米機によっては、ヌカを「ご自由にお取りください」と提供しているところもあります。私が働いている農家でも、ヌカ取り作業中に欲しいという方がいれば持って行ってもらっています。
スキンケアにも! ヌカの活用法
ヌカにはさまざまな使い途があります。ぬか漬け、タケノコや里芋のアク抜き、コンポスト作り、田畑の肥料づくりや土壌改良のためにも使います。
ヌカはとても油分が多く、触っているとベトベトしてきます。昔からスキンケアにも利用されており、ヌカを木綿の布に包んでお風呂などでお湯につけ、そのエキスで顔やあらだを洗うと大変しっとりします。「米ヌカカイロ」を作るのもオススメです。木綿の布袋に玄米と粗塩、ヌカを入れて作る米ヌカカイロは、電子レンジで温めて繰り返し使えます。じんわりと体を温めてくれて、ホッとする香りもまたいい感じなのです。
イノシシも大好き。ヌカはおいしい!
近年、増え続けて深刻な農業被害をもたらしているイノシシ。我が家の近所にもうろうろしています。イノシシは栄養たっぷりの米ヌカが大好き。イノシシの罠があちこちに仕掛けられていますが、その罠へおびき寄せるためのエサとして米ヌカが使われることが多いのです。
ヌカの注意点
玄米から取り除いたヌカは酸化しやすく、特に夏場の高温時には酸化のスピードが早いです。そのため、「白米は精米から1か月以内がおいしい」といわれています。精米してから時間が経過したお米は、味が落ち、ヌカの酸化した匂いが気になることがあります。夏場は特に、白米は冷蔵庫へ保管しておくことをオススメします。ヌカの特性を知って、おいしい米を召し上がってくださいね。
私が働いている農家・アグリードでは、こだわりの米や米の加工品をネット販売しています。楽天、食べチョクでも販売しています。もしよろしければご覧ください。