知る人ぞ知る「オオシラビソ」を紹介します。別名は「アオモリトドマツ」です。
冬の蔵王で見られる有名な樹氷の樹がこの「オオシラビソ」です。
マツ科モミ属の常緑高木で、幹は高さ25〜30m、直径は80〜100cmに達します。本州の青森県八甲田山~中部地方の亜高山帯に生えます。加賀の「白山」が西限といわれていますが、3枚目がその白山で撮った写真です。
樹皮は灰色で滑らかです。葉は長さ1.5〜2cm、幅は約2.5mmの線形で先に向ってやや幅広くなり、先端は凹形~円形となっています。
花期は6月です。2枚目の写真で葉の下腋付近に見える茶色のものが、雄花の名残です。毧果は9月末頃。黒紫色に成熟し卵状楕円形で、長さ6〜9cm、直径3.5〜4.5cmになります。
このオオシラビソは、北海道に自生する「トドマツ」よりは少ないですが揮発性の香り成分が多く、森林セラピーには大いに関わりがあります。金峰山の登山道沿いにはこのほかに「ダケカンバ」や「コメツガ」「シラビソ」などが混在していますが、オオシラビソの樹が近くにあると森全体の香りが変ります。樹皮に出ている松ヤニ・葉・毧果に鼻を近づけると、嗅覚に自信がない人でも香りを確認できます。
針葉樹が持っている香り成分は“自律神経バランスを整えてくれる”といわれていますので、一度試してみてはいかがでしょう?この香りで穏やかな気持ちになり眠くなる人が多いので、先の行程で危険な山道が残っているといった場合は、安全上、行動前のストレッチで身体を醒めさせる、広葉樹などのスッキリ爽やかな気分になれる香りを嗅いだ後に再スタートするように留意してください。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))