ある日、エバーグリーン編集長から、「森林セラピーを体験してみない?」とメール。初めて耳にする「森林セラピー」という言葉に、ちょっと戸惑いは感じたものの、セラピーというくらいだから、きっと身体に何かいいことがあるに違いないと、「行きます!」と返信。
森林セラピーって何だろう?
ということで、今回、森林セラピーを体験させていただいたのは、山梨市森林セラピーロードに認定されている『保健農園ホテルフフ山梨』の敷地内にある「巨峰の丘ロード」。 案内してくださったのは、山梨市の森林セラピーガイドとして、毎週のように、山梨市の西沢渓谷、乙女湖、万葉公園、そしてこの巨峰の丘ロードで、たくさんの人のガイドを務めているという四十物治夫(あいものはるお)さん。企業を定年退職された後、山梨市の森林セラピーガイドに応募されたといいます。
「山歩きが趣味で、よく西沢渓谷にも出かけていました。そのたびに、心も体も癒やされて、とても穏やかな気持ちになれるのです。ガイドになろうと思ったのは、他の人にも、私と同じような気持ちを味わってほしかったからです」
さぁ、森林セラピーの開始です。まずは、これから体験する「森林セラピー」について、四十物さんに説明していただきました。
「1930年頃、旧ソ連のB.P.トーキン博士は、樹木が放つフィトンチッドと呼ばれる森林の匂い成分が、人間のストレスを和らげたり、気持ちをリフレッシュさせたりする効果があることを発見しました。そこから生まれたのが森林浴です。その癒し効果を医学的に裏付けて、積極的に健康維持やストレスを軽減するために利用するのが『森林セラピー』といえるでしょう。現在、日本全国には、専門家による科学的効果の検証、認定された62の森林セラピー基地、ロードがあり、さまざまな森林セラピープログラムを提供しています」
「私たちガイドの役割は、森を訪れる人に、より高い森林浴効果をもたらせるよう、それぞれの人に適切なプログラムを提供することです。森林セラピーの目的は、医療、治療行為ではありませんから、対象となるのは、病気ではない一般のかたになります。実際にセラピーに参加されるのは、社会で活躍されていて、ストレスや疲れが溜まっているかたが多いようです。しかしなかには、ご自分のストレスや疲れを自覚されていないかたもいらっしゃいますが、森林セラピーは、まずご自分の疲れやストレスを自覚していただくところから始まります」
一人ひとりに合わせてプログラムを決定する森林セラピー
ひととおり、森林セラピーの説明が終わったところで、プログラムを決めるための面談です。ガイドは、参加者に適切なプログラムを提供するために、生活習慣や健康状態、その日の気分や体調を把握します。 普段、1日中パソコンに向かって締切に追われる毎日を過ごしていることに加えて、前日よく眠れなかった私には、10種類以上の草木の匂いを嗅ぐプログラムが効果が高いのではと、四十物さんは判断されたようです。
「森林セラピーは、このように一人ひとりの状態に合わせてプログラムを提供するので、基本はひとりで参加することをお勧めします。もちろんご夫婦・家族や気心の知れた少人数のご友人の参加も大歓迎ですよ」
「森のもっているリズムが、人間の脳波や心拍とシンクロナイズすることで、癒し効果は高くなります。特に、木や草の香りは、人をリラックスさせる働きがあるので、できるだけ草木の種類が多く、香りの濃度の高い森に入ることでよりいっそうの癒し効果が期待できますね。どんなに疲れているかたでも、経験を積んだガイドと一緒に森のパワーを十分に体験し、親しんでいただければ、知らず知らずのうちにリラックスできて元気が湧いてきますよ」
森に入る前には、必ず軽いストレッチをします。森林セラピーは、基地によって、歩く距離が異なるため、ガイドは、参加者が身体を動かす様子から、歩く距離や場所を判断しているのだそうです。まさに、オーダーメイドのセラピーです。
さあ、いよいよ森林セラピーが始まります。どんな変化が私に訪れるのでしょうか?
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