灯りをつけましょうぼんぼりに〜♪ということで、雛祭りです。未婚でも、既婚でもちょっとワクワク。そして、雛祭りにはいろいろな植物がからんでいます。そこで今回は雛祭りと、雛祭りにまつわる植物をご紹介します。
雛祭りとモモ
雛祭りの歴史を紐解くと、そのルーツは中国渡来の「上巳(じょうし)」の節句。ちょうど、モモの花の季節なので「桃の節句」と呼ばれるようになりました。
その昔、この日は水辺で身を清め穢れを払う習慣があったとされています。また、昔からモモは百歳(ももとせ)まで長生きできる不老長寿の願いも託されました。これは、中国ではモモは女神西王母の庭にあり、不老不死や不老長寿の実とされていることにも関係するからかも知れません。
実際、モモのタネの中にある桃仁(とうにん)、花のつぼみを乾燥させたもの、葉にはさまざまな薬効があることが知られています。今でも、モモの葉の成分はハンドクリームやローションに使われています。また、最近は実の栄養素のナイアシン、カリウム、ビタミンE、植物繊維は美と健康には欠かせないものだとされています。ですから、雛祭りにモモの花を飾るのは、ある意味自然な流れなのかも知れません。
菱餅のルーツは植物!
雛祭りには三段重ねの菱形のモチ、菱餅が登場します。このお餅、調べるとその昔は春の七草ではゴギョウ(御形)の名でも知られている黄色の花を咲かせるキク科のハハコグサ(母子草)を入れた餅を食べていたのだそうです。日本ではこれに変わって緑の葉のヨモギ(蓬)が使われるようになったとされています。その後、水面に浮かぶ葉の形が菱型になることが知られるミソハギ科の1年草のヒシの実を白餅に、さらにクチナシの実で色付けした赤い餅が重ねられ、現在の菱餅の原型になったとされています。
ちなみに、あまり知られていませんが、ヒシの実は水中の落花生とも呼ばれるほど栄養豊富で薬効を持つことから薬膳の材料なのです。また、諸説ありますがこの三色には緑は健康、白は子孫繁栄、赤には魔除の意味があるとされています。
雛壇はなぜタチバナ
そして、雛壇になくてはならないのがサクラと白い花のタチバナ。雛人形を飾る場合には、人形に向かって右側にサクラ、左側にタチバナとなりますが、これは京都御所には親王様から見て、東側にサクラが、西側にはタチバナが植樹されているからだとされています。また、この二つの樹木にも昔から「魔除け」「邪気払い」の力があるとされています。最近は、童謡からサクラの変わりにモモを飾るケースもあるそうです。皆さんの自宅の雛壇にはどんな植物にまつわる飾りが据えられているでしょうか。
(グリーンアドバイザー ふじえりこ)