植物図鑑
ヤマフジ
フジ属
ヤマフジ
学名:
Wisteria brachybotrys
〔基本情報〕長さ15mほどになるつる性の落葉木本。
西日本の低山地の林縁や明るい林内で見られます。
つるは左巻き(上から見て反時計回り)で、他物に絡みついて登ります。
葉は長さ15~25cmの互生する奇数羽状複葉で、小葉は9~13枚あります。
小葉は長さ4~7cm、幅1.5~3cmの狭卵形で全縁、裏面に褐色の短い毛が密生します。
托葉は長さ8mmほどの線形で、早くに落ちます。
小托葉は長さ1.5~2.5mmの針状です。
枝先の葉腋から出て下垂する長さ10~20cmの総状花序に多数の花をつけます。
花は淡い紫色または白色の蝶形花で横向きに咲き、花序の基部から先までほぼ一斉に開きます。
果実は長さ15~20cmの扁平な豆果で、表面に短い毛が密生します。
種子は径13mmほどの扁平な円形で、光沢のある黒紫色です。
〔来歴〕『古事記』にも登場し、『万葉集』ではフジを詠んだ歌が26首あります。
また、文様や意匠としても古くから用いられ、家紋としてもつかわれています。
〔利用〕かつては繊維で衣服をつくっていました。
若い葉やつる、花を山菜として利用します。
つるは椅子や籠などクラフト材料となります。
種子は民間薬として利用されます。
〔栽培〕増殖は挿し木、接ぎ木によります。実生は開花まで数十年を要します。
日当たりがよくやや重い湿潤な土壌を好みます。
乾燥は嫌います。
地植えの場合は適地に植えれば、特に水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
施肥は寒肥と開花後の追肥をおこないますが、チッ素分が多いと花つきが悪くなります。
太い根を切らずに丁寧に掘り上げれば老木でも移植は可能です。
病害虫としては根頭癌腫病、斑点病、さび病、こぶ病、フジノキクイムシ、ハムシ、コガネムシなどがあります。