植物図鑑
フジ
フジ属
フジ
学名:
Wisteria floribunda
〔基本情報〕長さ20mほどになるつる性の落葉木本。
山地の林縁や明るい林内で見られます。
つるは右巻き(上から見て時計回り)で、他物に絡みついて登ります。
葉は長さ20~30cmの互生する奇数羽状複葉で、小葉は11~19枚あります。
小葉は長さ4~10cmの狭卵形で全縁です。葉ははじめ毛がありますが成葉ではほぼ無毛となります。
枝先の葉腋から出て下垂する長さ20~90cmの総状花序に多数の花をつけます。
花は紫色~淡い紅色の蝶形花で横向きに咲き、花序の基部から先端に向かって順番に開きます。
花序の軸と小花柄には白色の短毛が密生します。
果実は長さ10~19cm、幅2~2.5cmの扁平な豆果で、表面にビロード状の短い毛が密生します。
豆果の莢はかたく、冬に乾燥するとねじれるように割れて中の種子を勢いよく飛ばします。
種子は径11-12mmの扁平な円形で、光沢のある褐色です。
〔来歴〕『古事記』にも登場し、『万葉集』ではフジを詠んだ歌が26首あります。
また、文様や意匠としても古くから用いられ、家紋としてもつかわれています。
〔利用〕かつては繊維で衣服をつくっていました。
若い葉やつる、花を山菜として利用します。
つるは椅子や籠などクラフト材料となります。
種子は民間薬として利用されます。
〔栽培〕増殖は挿し木、接ぎ木によります。実生は開花まで数十年を要します。
日当たりがよくやや重い湿潤な土壌を好みます。
乾燥は嫌います。
地植えの場合は適地に植えれば、特に水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
施肥は寒肥と開花後の追肥をおこないますが、チッ素分が多いと花つきが悪くなります。太い根を切らずに丁寧に掘り上げれば老木でも移植は可能です。
病害虫としては根頭癌腫病、斑点病、さび病、こぶ病、フジノキクイムシ、ハムシ、コガネムシなどがあります。
〔備考〕別名のノダフジは摂津国野田(現在の大阪市福島区)に名所があったことにちなみます。
天然記念物に指定されている古木があります。