ジリジリと肌を焼く日がようやく傾いて、空気がうっすらと青色になったように感じる夕暮れどき。道端からふわり、と良い香りが漂っているのに気づいたことはありませんか。
夏の花の多くには、夕方から夜にかけて香るという特徴があります。熱帯地方では特に、昼間の気温が高すぎるため、昆虫の活動が鈍くなります。涼しくなる夜に活動する夜行性の昆虫に合わせて開花し、香りを発することで結実を促す植物が多いためです。目で楽しむのもよいものですが、ときには鼻で楽しむ植物観賞はいかがでしょう。
オシロイバナ
南アフリカ原産で日本には江戸時代の初めごろに渡来したとされています。ピンク色、白色、黄色、絞り模様とバリエーション豊かで賑やかな花が夕方に咲きます。日本では花の後にできる黒くて丸っこい種子を潰すと、中から白い粉状の胚乳が出てくるのを化粧品の白粉(おしろい)にたとえて名が付いていますが、英語では「4時に咲く花:Four o’clock」、中国でも「夕食の時間に咲く花:煮飯花」と時間にまつわる名前が付けられています。
開花と共に漂う甘い香りは、強いのに嫌味がありません。フランスの有名なファッションブランドからこの香りの香水も発売されています。
イランイラン
不思議な響きの名は、マレー語で「花の中の花」を意味します。黄色くクネクネと伸びたヒトデのような形の花から発せられる香りは動物的で、お世辞にも良い香りとはいえませんが、官能的な高揚感、安心感、受容性を与えるといわれ性欲促進作用をもつとされているため、南洋の島では新婚の夫婦のベッドにこの花を散らす風習があります。アメリカを代表する女優(M.M.)が「夜に何をまとって寝るのか」と聞かれて答えたあの有名な香水に使われている香りです。
エンジェルズトランペット
大きなラッパ状の花を天使が吹き鳴らすところを想像すると微笑ましい名の植物です(「キダチチョウセンアサガオ」という別名があります)。夕方になると甘い香りが漂い始め、まさに天国気分を味わえます。しかし、全草に強烈な毒を持っており、少しでも口にすれば命に関わる(天国気分どころでなくなる)危険もありますので、十分ご注意のうえ、香りをお楽しみくださいね。
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