ヒイラギナンテンは街中や公園でよく見かけるありふれた樹木ですが、実は花におもしろい仕掛けがあります。今回はヒイラギナンテンと花の仕掛けについてお話しします。
ヒイラギナンテンとは
メギ科の常緑性低木です。日陰にもある程度耐えて丈夫なのでいろいろな場所に植えられています。玄関脇やマンションの入口前に植えられていることも多いです。
これはヒイラギやナンテン同様、魔除けや縁起木の意味もあるからでしょう。台湾、中国原産で日本には江戸時代に渡来したとされています。
葉っぱ(小葉)の縁のギザギザがトゲ状に鋭くとがり、触れるとけっこう痛いので気をつけましょう。葉姿がヒイラギ、実の付き方がナンテンのようなので、ヒイラギナンテンの名前があります(諸説あります※1)。
※1 葉姿がヒイラギでナンテンの仲間(同じメギ科)だから、など
生育環境
適度な湿り気がある木漏れ日の差し込むような明るい日陰でよく育ちます。
元気な株は放射状にたくさんの葉を伸ばし、葉は濃緑色で表面がツヤツヤしています。
秋にキレイな紅葉をみたい場合は半日くらい日の当たる場所で育てるのがよいです。
ある程度の耐陰性があるので、暗い日陰に植えられることもよくあります。あくまで枯れずに耐えているだけで、元気に育つ環境とはいい難く病害虫も発生しやすいです。
地味に動く雄しべ
冬~春に季節が少しずつ移り変わる頃(2月下旬~3月頃)に黄色い花がたくさん咲きます。丸っこい小さな花で、雌蕊(めしべ)を囲むように6本の雄蕊(おしべ)がつきます。
ほどよく開いた花を見つけ爪の先で雄蕊のつけ根あたりを刺激します。すると雄蕊がぐぐっと雌蕊のほうに動いてぴたりとくっつきます。この動きが楽しくて花どきは1度か2度ちょっかいを出してしまいます。なぜ、そんな動きをするのかわかりませんが理屈抜きで楽しいです。すごく地味ですが。
さいごに
今まで何となく素通りしていたヒイラギナンテンが、「雄蕊が刺激で動く」ことを知ってから好きになりました。気がついていないだけで植物にはいろいろな秘密があるのだなあ、としみじみ思ったのでした。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
- 前の記事を読む(西沢渓谷の至るところで自生しています)
- 次の記事を読む(試験管ブラシを大きくしたような姿)