植物図鑑
ナンテン
ナンテン属
ナンテン
学名:
Nandina domestica
〔基本情報〕
庭木として植えられる高さ1~3mの常緑低木。
まれに5~6mになるものもあります。
幹は叢生して、あまり枝分かれしません。
葉は互生する長さ30~50cmの3回3出複葉で、小葉は長さ2~10cm、幅0.5~2.5cmの披針形となり、全縁です。
葉は幹の上部に集まってつき、葉柄の基部は茎を抱きます。
葉は秋に紅葉します。
幹の先に長さ20~35cmの大きな円錐花序を出し、多数の花をつけます。
花は径6~7mmで白~クリーム色、花被片は3枚ずつ多数ついて一番内側の6枚が花弁状にめだちます。
果実は径6~7mmの球形で赤く熟します。
〔来歴〕
日本の南西部で野生状態でみられるものは本来の自生かははっきりしていません。
名が「難を転ずる」に通じ、古くから魔除け、厄除け、縁起物として利用されます。
鎌倉時代の『明月記』にはすでに記載がみられ、足利氏の時代に造園・いけばな材料としての記録があります。
江戸時代には葉や実に変化がある園芸品種が数多くつくられ、伝統園芸植物として栽培ブームがありました。
〔利用〕
果実は薬用にされます。
この木には食物の腐敗を防ぎ、毒消しの力があると信じられ、食あたりの難を転じるおまじないとして葉をお祝のお赤飯や魚に添えます。
〔栽培〕
増殖は実生、挿木によります。
珍しい品種は接木で増やします。
種子は果肉を洗い流して湿らせて貯蔵し、翌春に播きます。
野生種は水はけのよい土壌であれば強健で栽培は容易です。
耐乾性も強く、かなり湿った場所でも育ちます。
日向~半日陰に植え、強い西日があたる場所や乾燥する場所は避けます。
梅雨時に開花し、雨にあたり続ける場所では実つきが悪くなるため、雨除けと人工授粉をおこなうとよいです。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は降雨にまかせます。
施肥は地植えの場合は寒肥として有機肥料を施し、鉢植えではリン酸、カリ分が多い緩効性肥料を植え替え時に施します。
剪定すると萌芽してこないので、春に茎を根元から切って間引くことによって、新しい茎の伸長を促します。
病虫害としてはモザイク病、葉枯病、すす病、カイガラムシ、ハマキムシなどがありますが、ふつうは被害は少ないです。