私たちがごく普通に見聞きしている「サクラの開花予想」、「今どこが見頃か」というニュース。例年二月ころからテレビやインターネットを賑わすこのニュースを見て海外のかたは驚かれるそうです。桜の開花が季節の挨拶となり、桜前線と天気予報を見ては一喜一憂する。お花見文化のない海外のかたにはなんとも牧歌的な国民性に見えることでしょうね。
街角や公園を彩る花たちは、まだ寒さの残る時期の「梅」、上巳(じょうし)の節句の「桃」、入学式の頃の「桜」とカレンダーをめくるごとに様々です(地域によって異なります)が、これらはすべてバラ科の植物です。さて、見分けはついていますか?花の時期は過ぎてしまいましたが、来年のため、それぞれの品種によって違いがありますので簡単な見分け方をご紹介しましょう。
ウメ(梅)
花が咲いている細い枝は手触りがツルツルしていますが、太い幹は不揃いにひび割れてゴツゴツしています。枝から直接出ている花は一輪ずつで、花数は少ないため枝が花で埋まらず少し寂しいくらいに感じます。花弁は丸いのが特徴です。まだ寒さの残る時期に開花するので、乾いた冷たい空気の中にやわらかく甘い香りがするとウメが近くに咲いているのに気づくことがあります。葉は花後に出てくるので、花と同時に見ることはありません。
モモ(桃)
ツヤのない幹肌で斑点模様です。枝から伸びた花柄は短く直接咲いているように見えます。花弁の先がやや尖っていて一節に二輪ずつ対になって咲くので、ウメよりも枝にびっしり咲いているように見えます。細長い葉が花と同時に出るのも特徴です。
サクラ(桜)
ツヤのある幹肌に横縞が細かく入るサクラは、葉や花のない時期でも見分けられるほど特徴的です。花弁は品種によって様々ですが、ウメのように丸くなくてモモに似ており、先が割れているものが多いです。また花柄が長く、一節から房状に咲くので花数が多く枝からこぼれるような豪華な印象です。花が終わると次々と葉が出てくるので、季節の終わりには花と葉を同時に見ることになります。
番外編「アーモンド」
サクラとモモの花にとてもよく似た花が咲くアーモンド。花の大きさがひと回り大きく、薄桃色をしています。日本では桜並木を多く見かけますが、モロッコにはこのアーモンドの並木で有名なカスバ街道があります。
サクラには食用の実はなりませんが、アーモンドはナッツとして収穫されますよね。つまり、花も団子も楽しめる二度美味しい樹木なのです。
- 前の記事を読む(ヨーロッパの街路樹で有名な「マロニエ」の仲間、そして実でお餅も作れます)
- 次の記事を読む(西沢渓谷のシンボルツリ-)