[プリムラ]地際の桜 プリムラ|サクラソウ科サクラソウ属|エバーグリーン

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桜前線のお知らせが気になる季節がやってきました。まだまだ早いと分かっていても枝先の蕾を観察したり、この冬の寒さの変化や南の地域の花便りに胸を躍らせたり。沖縄の那覇市では2023年1月7日に緋寒桜(ひかんざくら)の開花が気象庁から発表されました。そんな気の早いわれわれをなだめてくれる地際で咲くサクラのような花を紹介しましょう。

鮮やかな花色が可愛いプリムラ・マラコイデス

鮮やかな花色が可愛いプリムラ・マラコイデス

 

プリムラはサクラソウ科サクラソウ属の植物で同じ属には500~600種もあるとされている観賞価値の高いものが多いグループです。園芸店で目立つのは濃いピンク色の花が壇状に咲く華やかなプリムラ・マラコイデスや、青色から黄色、真っ赤まで色とりどりでキャンディーの詰め合わせのようにポップな色合いのプリムラ・ポリアンサ。どちらも春の花壇や寄せ植え、ハンギングバスケットに多用されます。

プリムラ・マラコイデスは別名が「オトメザクラ:乙女桜」。また全体が白い粉で覆われることから「ケショウザクラ:化粧桜」とも呼ばれます。花の小さい系統と大きい系統に分かれるのですが、小さい系統はこぼれ種子でかんたんに殖えやすいので、まずは2株くらい植えてみて次の年の春に周りに小さい株が出てくるのを観察してみると、とても楽しい品種です。

紫や青色など花色の中では珍しい色も多いプリムラ・ポリアンサ

紫や青色など花色の中では珍しい色も多いプリムラ・ポリアンサ

 

プリムラ・ポリアンサはプリムラ・ジュリアンとも呼ばれることがありますが、もともとはポリアンサのなかで小さい花の種類にジュリアンという商品名がつき販売されていたものが、最近は混ざり合っています。ポリアンサの特徴は草丈が低く花を囲むように葉が周りに広がるので、上から見たときにとても目立つことです。自然の色とは思えないような鮮やかな花色や模様は春の花壇でも唯一無二の存在です。注意が必要なのは1月から2月にかけえても最も寒い時期。霜で根元が浮き上がった状態を放置すると水切れですぐに弱るので、早く土のなかに植え戻すようにしましょう。

最後に日本の伝統園芸を代表するサクラソウを紹介しましょう。江戸時代に流行し現代にまで300種類が伝えられるサクラソウは5段の雛壇に飾られて愛でられる風雅な植物。花色は少ないものの花の形に変化が多く、お気に入りを決めるのにもひと苦労です。

サクラの木に花が咲くまでにサクラソウたちを楽しみましょう。

 

水戸市植物公園 宮内元子)


鮮やかな花色が可愛いプリムラ・マラコイデス