「草木花 × スマートフォン」〜 スマホフォトガイド  横山美枝子さん|エバーグリーン

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2017年の「流行語大賞」に選ばれた「インスタ映え」。最近は、お花や植物を撮るときも「インスタ映え」するかどうかを意識する人が増えています。今回は「スマホde季節の花撮り楽しむ会」に同行し、主催でスマホフォトガイドの横山美枝子さんに、スマホとマクロレンズを使ったインスタ映えする植物の撮影方法を教えていただきました。

サクラコラージュ

ワークショップ当日に咲いていた開花していたジュウガツザクラ、コブクザクラ、
ヒマラヤザクラ、フユザクラをコラージュ(撮影:横山さん)

 

冬だからこそ撮れる植物や風景

「撮りたい花、レベルが違う参加者それぞれに丁寧に対応したい」という横山さん。だから、「スマホde季節の花撮り楽しむ会」に参加できるのは1回5人まで、ほぼオーダーメイドの贅沢なワークショップです。取材した日はあいにくの雨だったため、キャンセルも出て参加者はひとり。「冬だと撮るお花がないと思われる方が多いのですが、雨が降っていれば雫、気温が下がれば霜も降りるので、おもしろい写真がたくさん撮れるんですよ。それに冬は小さい花が多いのでマクロレンズを使った撮影に向いているんです」と横山さんは話します。

早朝の霜

霜が撮影できるのは冬ならでは(撮影:横山さん)

スマホにマクロレンズ付けて梅の木の樹液を覗いてみて(撮影 横山さん)

 

またこの季節、ワークショップの会場となる新宿御苑では、冬咲きのジュウガツサクラコブクザクラが見頃を迎えています。「この季節の小さいサクラは、マクロレンズを使うことで、花びらの柔らかさが撮れたり、きれいなボカシを入れたりもできるんですよ」。横山さんは、四季を通じて新宿御苑に咲く60種類のうち、57種類を撮影、残すサクラはあと3種類で、コンプリートするそうです。

サクラコラージュ

冬に咲く小さいサクラをマクロレンズを使ってスマホで撮ってみたら(撮影:横山さん)

 

「新宿御苑の植物は、比較的枝振りが低いのでスマホ撮影に向いているんですよ。雨の日も大温室でゆっくり撮影できるので、新宿御苑を会場にしています」

 

100均で売っているマクロレンズを装着

ということで、場所を大温室に移動してワークショップを開始。今回の参加者はこの日で2回目という山本利恵子さん。

「Facebookに投稿された美枝子先生の写真がとってもすてきだったので、私もちょっとでも近づけたらいいなとワークショップに申し込みました。今日はマクロレンズを使って小さなかわいい植物を撮りたいです。前回、お花の中心を拡大するとおもしろいと教えていただいたので、意識して撮影しよう思います」

まずはiPhoneに15倍のマクロレンズを装着します。

マクロレンズ

この日、山本さんのスマホに装着された15倍のマクロレンズ

 

「最初は100均で売っているマクロレンズで十分です。マクロレンズを持っていても、ピントが合わなくてあきらめちゃう人がほとんどみたいなんです。ワークショップに参加されたかたは、『こんなに接写するの?』と驚かれますよ」と横山さん。

 

スマホ撮影の基本は構え

ワークショップには、横山さんがいろいろな種類の10倍〜20倍のレンズを持参されています。「スマホの種類によって、合う、合わないもあるので、ワークショップで試してから購入されることをオススメしています」

自分のスマホに最適なマクロレンズはどれかを試します

自分のスマホに最適なマクロレンズはどれかを試します

 

スマホでの撮影の基本となるのは構えだと横山さんは言います。

「まず脇を締めます。小さいスマホは安定が悪いので、近くにある木や壁に寄りかかるといいですね。寄りかかるところがなければ、人間三脚をイメージして足を踏ん張ればだいじょうぶ。スマホを横にして、一方の親指でしっかり固定します。そのときに自分の指が入らないようにしてくださいね。そして、もう一方の親指でそっとシャッターボタンをタッチしてください」。

横山さんのスマホの構え

横山さんのスマホの構え

 

植物の特徴を最大限に引き出す的確なアドバイス

さて、山本さんの最初の被写体はカトレアの花。ガラス製の15倍のマクロレンズを選んで、カトレアの中心にある花弁にピントを合わせます。構える山本さんの後ろから、「もう少し上から」「もう少し近づいて」など、横山さんがアドバイス。「1枚の写真を撮るのに時間がかかるので、なかなか先に進めないんです」と山本さんは笑います。

ワークショップ参加は2回目という山本さん

ワークショップ参加は2回目という山本さん

カトレアの中心にピントを合わせて撮影する山本さん

カトレアの中心にピントを合わせて撮影する山本さん

横山さんと山本さん

山本さんのスマホの画面をのぞき込む横山さん

 

ブッソウゲは蕊(しべ)にピントを合わせて、パンダスミレは下向きの角度に、苔を撮るときはスマホを逆さにして地面を這うようにするなど、ピントを合わせる場所、スマホの向き、光の差し込む角度など、それぞれの植物の特徴を最大限に引き出せるように横山さんはアドバイスします。

ブッソウゲ

筆者が初めてマクロレンズを装着したスマホで撮ったブッソウゲ。ピント合わせが難しかったです

こびとの目線

スマホを逆さまに地面を這わせるように撮るとこびとの目線で撮影できます

ときには撮る人が這うように

ときには撮る人が這うように

 

写真を撮るのが楽しくて仕方ないという山本さん。「まだまだ下手ですけど、みんなに見せて回っています」。すでに撮った写真を組み合わせて、動画も作っているなど、すっかりスマホで植物を撮ることにハマってしまったようです。

小さな葉っぱもくっきりと、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで

小さな葉っぱもくっきりと、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで(編集部撮影)

iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで

iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで(編集部撮影)

 

一番レフでできることはスマホでもできる!?

横山さんも、最初はスマホで撮った写真を、写真共有サイトに投稿することから始めました。ほとんどの参加者が一眼レフを使って撮影しているなかにあって、スマホで撮った横山さんの写真は徐々に評価されるようになりました。それは横山さんのあくなき探究心のたまもの。一眼レフでできることは、スマホでもできるのではないかと、トライアンドエラーを繰り返しました。そして、スマホに装着できるマクロレンズと出合ったことで、横山さんなりの撮影方法を確立していきました。

スミレ、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで

スミレ、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで(編集部撮影)

iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで

iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで(編集部撮影)

ジュズサンゴ、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで

ジュズサンゴ、iPhoneXと100円ショップのマクロレンズで(編集部撮影)

 

「一眼レフは敷居が高いというかたも、スマホとマクロレンズなら、道端や公園で気になる花や植物に出合ったときに、気軽に撮影することができると思います」。横山さんが道端でスマホを使って植物の写真を撮っていると、興味を持ってくれる人も少なくないといいます。「ぜひ、一度『スマホde季節の花撮り楽しむ会』に参加していただいて、まずはマクロの世界を実感していただければと思います」。

参加者5人までという贅沢なワークショップは月に2回。詳細は、横山さんのHPでご確認ください。

お問い合わせは、 http://jdhk9.crayonsite.com から。

カトレアの中心にピントを合わせて撮影する山本さん