[オーガニックガーデン]身の回りのものではじめる! 初めてのオーガニックなバラ作り|エバーグリーン

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とうとう桜が咲いて、春のガーデニングシーズンもスタート! 今年は、バラのオーガニック栽培に挑戦してみてはいかがですか? 用意するのは、身の回りのもの3つだけです。

私の仕事場の一つ、島根県邑南町@香木の森公園

私の仕事場の一つ、島根県邑南町@香木の森公園

香木の森公園にあるバラのハウス。二年前から無農薬無化学肥料で育てています

香木の森公園にあるバラのハウス。二年前から無農薬無化学肥料で育てています

 

1つ目はお酢

どこにでも売っている安い穀物酢でかまいません。これを水で300〜500倍に薄めて、水をやる時のジョウロで葉っぱにかけたり、土にあげたりしてください。2リットルのペットボトルに小さじ1杯くらいが標準です。なんでお酢? と思われるかもしれませんが、主な効果としては以下がよく挙げられています。

  1. 香りによる害虫の虫除け
  2. 病害菌の抑制(微弱な酸性に傾けることで病害菌を増やさない)
  3. 良い土壌菌を繁殖させ、土を活性化

ちなみに、「園芸店でよく売られている竹酢液や木酢液は?」とも思われるでしょうが、実はこれらに微量に含まれるタール(色が付いていますよね)は、人間同様、植物にとっても避けたい成分。しかも、食酢の方が断然お安く、思い立った時にささっと使えます。手軽さの点でも、お酢はオススメなのです。

 

目的によっては濃度が濃くてもかまいません。1の害虫除けならば、100倍くらいでも大丈夫です。ただ今までの経験上、100倍より濃いと、酸が強すぎるのか、表皮細胞がまだ柔らかい若芽や根などを傷めたりすることがあります。ですから日常的には300〜500倍でバラを一株丸ごとコーティングする。それが結局、シーズン中良い状態をずっとキープしてくれる気がしています。3の土壌菌になぜいいのかは、また改めてゆっくりと書かせてください。

今春のバラの新芽

今春のバラの新芽

 

2つ目は米ぬか

これはスーパーのお米売り場の端っこにありますので、探してみてください(笑)。ただし、塩やからしなど、ぬか漬け用に調味料が入っているものもあるので、原材料が米ぬかだけのものかどうかは必ず確認してくださいね。

さて、この米ぬかを使って若葉が出始めた今の時期にやることがあります。それは名付けて「花咲か爺さん作戦」。晴れた日の日中(できれば朝ではない午前中に)、米ぬかをバラの若葉にふわっと振りかけてください。これは以前、農業雑誌で知った手法なのですが、米ぬかが触れた葉や茎には、米ぬかについている乳酸菌や酵母菌が移り、どんどん増殖して株を菌コーティングしてくれます。そのため、悪い病原菌が後からきても入り込む余地がないのです。

そしてもし、葉っぱの上や茎との境目などに米ぬかが残っていたら、軽く揺すったり、柔らかい羽ぼうきのようなものでそっと払ったりしてください。そのままにしておくと、たまに湿気で腐ることがありますので……。土の上にも払った米ぬかが落ちると思いますが、それはそのま置いておけば、土壌菌たちのご飯になります!

ちなみに、この「花咲か爺さん作戦」。実行するのは3月、6月、9月の年3回です。3月は芽吹きの頃、6月は花後剪定の後、9月は夏剪定の後。要は、新芽が出て、新しい葉っぱが広がるときだと覚えていただければ。また、使いかけの米ぬかは、ジップ付き袋に入れて冷凍庫保管をするのがオススメです。

手前は米ぬか。奥のスプレーはお酢の水溶液。我が家の常備品。

手前は米ぬか。奥のスプレーはお酢の水溶液。我が家の常備品。

 

3つ目は「苦土(クド)石灰」

これは聞きなれないやも?ですが、園芸業界的には身近なものの一つで、野菜作りには欠かせない資材です。園芸店や最近では百円ショップの園芸コーナーでも売っていますので、一番小さな袋でいいので買ってください。そしてやはりこれも「花咲か爺さん」すると、「うどんこ病」などのカビ系病気にものすごく効きます。石灰の主成分カルシウムには病害抵抗性を高める効果があります。また、苦土とはマグネシウムのことで、光合成に欠かせない成分。この両方をしっかり与えることで、抵抗力を高め、体力も上げ、健康優良児(バラ)に育てることができるのです。さて、苦土石灰をまくと葉っぱが白くなってしまいます。その時は水やりをして流せばOKです。流れた苦土石灰も土にしみ込んで、

いい仕事をしてくれます。これから夏までは、月に1回やってみてくださいね!

 

以上、オーガニックガーデニングってこんだけ? と拍子抜けされるかもしれません。でも、体力を上げて抵抗力を高め、病害虫は化学農薬に頼らず防ぐ。それがオーガニックガーデニングの基本です。

覚えておいてくださいね。

 

(オーガニックガーデナー 花房美香)

手前は米ぬか。奥のスプレーはお酢の水溶液。我が家の常備品。